黒部で生地たいまつ祭り 炎の中みこし駆ける 市指定無形民俗文化財
●漁の安全、大漁願う 黒部市指定無形民俗文化財「生地(いくじ)たいまつ祭り」は2、3日、市生地地区で行われた。最終盤となる新治(にいはる)神社の火渡りでは、みこしを担いだ厄年の男衆が燃え盛るたいまつの間を一気に駆け抜け、漁師の安全と大漁を願った。 新治神社境内では2日午後10時ごろから、当番町の若者が300本のたいまつを参道一面に燃やし、みこしの到着を待った。 日付が変わる3日午前0時ごろ、住民や観光客が見守る中、男衆20人は神様がお発(た)ちになるという意味を持つ「オタッチョー」の掛け声を響かせ、みこしを担いで炎と煙に包まれた参道を威勢よく進んだ。見物客から歓声が上がり、祭りムードは最高潮に達した。 火渡りの前には恵比寿(えびす)や大黒像をのせた屋形船が子どもの祭り囃子(ばやし)に合わせて生地地区内を巡った。餅まきも行われた。 たいまつ祭りは室町時代の1454(享徳3)年8月、突然の暴風雨のため方向が分からなくなった漁船が新治神社の神火を頼りに助かったという伝説にちなんで行われている。 火祭りや恵比寿、大黒信仰など新川地区に特徴的な祭りや行事が習合し、生地地区の地域色を反映した行事として2016年に市無形民俗文化財に指定された。