急性アルコール中毒やヒートショック、万が一の対処方法は? 福井大学の救急専門家が解説
年末年始は救急搬送の件数が増加する時季で、急性アルコール中毒、ヒートショックなどの事例が目立つ。予防法や万が一の時の対処法を、福井大医学部附属病院救急部の神川洋平特命助教に解説してもらった。 ◆急性アルコール中毒時の対応 忘年会や新年会など、ついお酒を飲み過ぎてしまうことも。急性アルコール中毒は、短時間で多量のお酒を飲み、血中アルコール濃度が急上昇することで起こる。お風呂での溺死や、吐しゃ物がつまることでの窒息死、屋外での凍死などの危険がある。▽ゆすっても、呼びかけても反応しない▽大きないびきをかくなど呼吸がおかしい▽全身が冷え切っている-などの場合は「命に関わる恐れがあるのですぐに119番して」 救急隊員が到着するまで、吐いた物で窒息するのを防ぐために顔を横に向かせて寝かせる。必ず誰かが付き添い、ちゃんと呼吸しているか確認。意識がある場合は、水やスポーツドリンクを飲ませ、血中アルコール濃度を下げる。 【予防のポイント】 ▽自分の適量、その日の体調を把握する▽イッキ飲み、無理強いはしない▽水などノンアルコールの飲み物をはさみながらお酒を飲む ◆ヒートショックの対処方法 冷えた体を温めるお風呂は至福の時だが、思わぬ危険が潜む。特に冬場に気をつけなければならないのが、急激な温度変化により起こる体調不良「ヒートショック」。暖房の効いた部屋と寒い脱衣所や風呂、トイレの行き来などで、血圧が乱高下し、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすことがある。入浴中だと溺水事故の恐れも。 2023年の人口動態統計によると、浴槽内で溺れて亡くなったのは約6900人。ヒートショックは高齢者に限って起きるものではなく、飲酒や肥満などによってもリスクが高まる。「ブームになっているサウナも注意が必要」 【予防のポイント】 ▽入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく▽入浴前に家族に一声かける▽お湯の温度は41度以下で、10分以内を目安に長湯しないように気をつける
福井新聞社