堅調さ際立つシンガポール商業用不動産市場、ただ一つ大きな例外も
不動産物件リストによると、パーク内に2棟のビルを所有するスタンダードチャータードは5万8000平方フィート以上のオフィススペースがある2フロアを貸し出すことを目指している。
最近チャンギを訪れた際、複数のビルの正面に「For Rent(入居者募集中)」の看板が掲げられていた。現在は政府機関JTCが所有する、IBMがかつて利用していたスペースも含まれる。
7階建てのハンサポイントは庭園とジムを備えたビルで以前は満室に近かったが、UBSによる所有スペース縮小に伴い、2023年末の入居率はわずか36.5%だった。UBSはコメントを控えた。
ハンサポイントはキャピタランド・アセンダスREITが所有する。このREIT(不動産投資信託)の230万平方フィート以上の賃貸可能スペースでは、全体の稼働率が4年前の94%近くから23年末には約76%に低下。事情に詳しい関係者やオンラインでのキャンペーン広告によると、チャンギやその他不採算ビジネスパークの物件は一部、3年契約なら1年分の賃料は無料を意味する「3フォー2」が提示されている。
スタンダードチャータードは、シンガポールは依然として重要なグローバル・ハブで、80%以上の行員がフレキシブルな勤務形態を採用していると広報担当者は説明。チャンギビジネスパークとマリーナベイ・ファイナンシャル・センター(MBFC)に重要な拠点を維持しているという。
IBMもMBFCで3フロアを維持し引き続きシンガポールでの業務に力を入れており、最近のチャンギでのスペース「最適化」はハイブリッドワークモデルやマネージドインフラサービス事業のスピンオフによって生じた部分もあると説明している。
特有の問題
シンガポールのビジネスパークの家主が直面する課題は世界の他の地域と同様であるものの、物件のマーケティングを困難にしているこの地特有の問題もある。
1990年代初めに構想されたチャンギビジネスパークは、当局による数十年にわたる脱集中化の一環であり、島の西部に新たなCBDを開発する計画も含まれている。同パークは、世界有数の空港であるチャンギ空港と国内最大の展示会場の間に位置する。