ニキビの痕もきれいになる…改善のために今すぐやるべきこと
ニキビに悩んでいるなら、自己判断で対処せず、皮膚科の受診を。保険適用で使える有効な薬が複数登場している。 皮膚を見れば病気が分かる(2)クモの巣のような赤い発疹は肝臓トラブルのサイン ニキビの初期段階である「面ぽう」の治療薬アダパレンが初めて承認されたのが2008年。同年、ニキビのガイドラインも初めて登場した。 「その後も面ぽう治療薬として抗菌作用も持つ過酸化ベンゾイルや、過酸化ベンゾイルを含む配合剤が承認され、現在は保険適用の薬を正しく使うことで、ニキビをしっかり治せます」 こう言うのは、ガイドライン策定委員会のメンバーである虎の門病院皮膚科の林伸和部長。 ニキビの経過を簡単に示すと、「毛穴が詰まって角栓ができる(=面ぽう)」→「毛穴の中でアクネ菌が増殖し炎症が起きる」→「炎症が拡大し膿をもったり、硬く盛り上がる」→「ニキビ痕(瘢痕)が残る」。 「来院患者さんのほとんどは、ニキビで炎症が起こっている状態。炎症性のニキビの個数などで軽症、中等度、重症、最重症と分類し、程度に応じた薬を処方します」(林部長=以下同) たとえば片顔に炎症性のニキビが5個以下の軽症なら、塗り薬が推奨されている。 薬にはアダパレン、過酸化ベンゾイル、抗菌外用薬、アダパレンと過酸化ベンゾイルの合剤、過酸化ベンゾイルと抗菌外用薬の合剤の選択肢があり、単剤で、または組み合わせて治療を行う。中等症以上では抗菌内服薬も加わり、軽症ではなかった薬の組み合わせも検討される。 「炎症性のニキビは3カ月程度で治ります。その後は非炎症性のニキビ、つまり面ぽうに対する維持療法を行います。抗菌薬で炎症が治っても、毛穴が詰まって角栓ができた面ぽうはそのままです。面ぽうに対する維持療法をしなければ、また面ぽうの中でアクネ菌が増殖して炎症を起こし、再発を繰り返します」 維持療法では、アダパレンか過酸化ベンゾイル、あるいはこれらの合剤を使う。維持療法は、ニキビを治すために必須の治療だ。思春期は皮脂の分泌が多量。ニキビができやすい肌質の人が何もしないでいると、容易に面ぽうができ、炎症性のニキビに移行する。そうならないためにも、皮脂の過剰な分泌が落ち着くまで、維持療法を続ける。維持療法によってニキビ痕も目立たなくなるという研究結果がある。 ■悪化させている意外な原因 友人知人からの情報、またはSNSで「皮膚科の治療でニキビが良くならなかった」と聞いたことがある人もいるかもしれない。 良くならなかった事例の理由として、主に次の点が挙げられる。 ★途中で治療をやめる 「薬を途中でやめ、また悪くなったら抗菌薬を使う、ということを何度も繰り返していると、薬への耐性ができ、効きづらくなります」 維持療法の中断も、前述の通り、ニキビを繰り返す原因となる。 ★炎症性のニキビに対し抗菌薬しか使わない アダパレンと過酸化ベンゾイルはピーリング作用も持ち、面ぽうへの治療効果がある。ただ、ピーリング作用のある塗り薬は、使用中に赤くなったり乾燥したりすることがある。 「その副作用を嫌って抗菌薬しか使わない患者さんがいます。しかし、抗菌薬だけでは面ぽうは改善しないので、再発を繰り返すことになります」 ★ニキビにいいといわれるものをいろいろ使う 「ピーリング作用を持つアダパレンや過酸化ベンゾイルを使いながら、重ねてピーリング作用のある化粧品を使用すれば、副作用が出やすくなります。ニキビにいいといわれる化粧品であっても重ねて使えば、肌への負担が増えます。脂性肌の思春期のニキビに保湿クリームを塗れば、毛穴が詰まってニキビが悪化することもあります」 ニキビ治療の成功の秘訣は、処方薬をしっかり決められた期間使い、あれやこれやと手を出さないこと。なお、食べてはいけないものはない。根拠のない情報に惑わされず、正しい知識で治療に臨むことが肝心なのだ。