【密着】夫婦ともに“盲ろう” 目と耳の両方に障害のある生活とは 「知ってほしい」多様な会話の形 旭川
北海道旭川市の障害者福祉センターに集まった人たち。 「通訳、担当します。よろしくお願いします」。 隣に座る通訳介助員の女性から、手のひらに文字を書いてもらう人。手話でやりとりする人。指を点字に見立てて、言葉を伝える人も。3人は、目と耳の両方に障害がある「盲ろう者」です。 旭川市を拠点に、盲ろう者と支援者が月に1回交流する「つぼみの会」。会員はおよそ30人で、この日は目や耳の障害を疑似体験してもらうイベントの打ち合わせをしていました。
「盲ろう」とひと言で言っても、見え方と聞こえ方の組み合わせによって、コミュニケーションの方法は様々です。 弱視難聴で北見市の山本有希子さんは、「遠くに離れてしまうと見えづらいので、1m以内に近づいていただいて手話を読み取ってコミュニケーションを取っています」と話しました。 右耳が聞こえない澤田朋子さんは、介助者の声をマイクと補聴器を使って聞き取っています。「左耳に補聴器をつけて、外出の時には(声がダイレクトに届く)ロジャーというマイクを使っています」と言います。 2016年につぼみの会を立ち上げた澤田優さんは、生まれつきの盲ろうですが、子どもの頃は、まだ目は見えていました。徐々に視力が低下し、今は光を感じる程度。耳は人の声を聞き取ることはできません。 澤田優さんは、つぼみの会について「盲ろう当事者や支援者、ほかの障害者も交流したり、情報交換したり、そういう場でありたい」と語りました。 実は、メンバーの朋子さんとは夫婦です。盲ろう者の団体を通じて、当時、愛媛県で暮らしていた朋子さんと知り合い、去年、結婚しました。 結婚した際に撮影した記念写真について、優さんは「パープルのスーツがかっこいいかなと思って選んだ」と話しました。記者が「かっこいいです」と伝えると、朋子さんが優さんに指点字で通訳してくれました。優さんは「そうですね」と、はにかみました。