【密着】夫婦ともに“盲ろう” 目と耳の両方に障害のある生活とは 「知ってほしい」多様な会話の形 旭川
しかし、全道的には、盲ろう者に適切な支援が行き届いていないという現状も。北海道には、盲ろう者が800人ほどいるとされていますが、道内で行われている「通訳・介助員派遣事業」の利用登録は42人にとどまっています。 北海道身体障害者福祉協会の佐々木英己子さんは、制度の課題をこう指摘します。 「制度を知らなかったり、声を上げられなかったり。外に出ていくことで、他人の手を煩わせるとか迷惑をかけてしまうと考えがち。気軽に声を上げて制度を使いたいと言ってもらえるような整備が大事」。
(11月17日) 「盲ろうのことを、もっと知ってほしい」。優さんはこの日、「つぼみの会」が主催したイベントで自らの体験を話しました。 「私は生まれつき目と耳の両方に障害があります。見えていた頃は、マンガの本やテレビを見たり趣味がたくさんありました。誰かの手助けが必要です。それがないと家に閉じこもりがちになってしまいます。外に出れば出会いやつながりができ、生きる喜びが生まれます。盲ろう者を取り巻く支援の輪が広がればいいなと思っています」。 盲ろう者が普段どのように会話しているのか、様々なコミュニケーション方法も体験してもらいました。参加者は、優さんの手のひらに「はじめまして」という文字を書いていました。 インタビューに答えた参加者は「盲ろうの方とのコミュニケーションって難しいのかなと思っていたし、こんなにたくさん種類があるとは知らなかった」と話しました。また、大学生の参加者は「4月から教師になる予定なので、そのような児童に出会う機会があったら活用していけたら」と話しました。 優さんが目指すのは、誰もが自分らしく生きられる社会です。 「勉強になったと言ってくれた方もいたし、また会いましょうと言ってくれた方もいたので、今後につながると思います。盲ろう者が増えたら、交流の場を広げたいし、社会に参加できる場ができたらいいなと思います」。
HTB北海道ニュース