【密着】夫婦ともに“盲ろう” 目と耳の両方に障害のある生活とは 「知ってほしい」多様な会話の形 旭川
ともに盲ろう者の2人。一体どうやって、生活しているのでしょうか。 (午前5時) 旭川市内で、優さんの両親と4人で暮らす澤田さん夫婦。朝、優さんが、まず向かうのはキッチン。朝食の目玉焼き作りが日課です。同時進行で、職場に持っていくお弁当を準備します。 目玉焼きの焼き加減について、優さんは「いつも通りちょうどいい。半熟にしている」と満足気。全ての物が、決まった場所に置かれていることが、2人の生活では大切です。 「食べている?」と朋子さんに尋ねる優さん。左耳が聞こえる朋子さんに対し、優さんは声で会話しています。朋子さんは、優さんの手のひらに文字を書いて思いを伝えます。 優さんの母・友子さんは、2人を見守りながら、「いつもと同じ。作って食べて、後片付けも自分たちでやる。手はかけない」と話します。
外出前には、点字ディスプレイで天気をチェック。「雨のち曇り、8℃」と、天気の情報を読み上げる優さん。点字ディスプレイは、インターネットにつながっていて、文字情報を瞬時に点字に変換してくれる機械です。試しに、記者が優さんにメールを送ってみると…。 「メールサーバーに接続。1通、受信しました」と点字を読み上げる優さん。手元の小さなピンが上下して、点字が表示されます。記者が送ったメールも、その場で確認できました。
(午前7時) 2人は、優さんの父親が運転する車で、ともにマッサージ師として働く治療院へ。優さんは盲学校を卒業後、20歳であん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得し、生計を立ててきました。優さんは「首が凝っているとか、肩が凝っているとか、腰が硬いとか感じながらもんでいます」と話しました。 (午後2時) この日、朋子さんは正午前に仕事を終え、街中に出てきました。 「目の代わりに、いろいろ周りの状況とか情報を教えてもらっています」と話す朋子さん。朋子さんは、旭川市による障害者の付き添いサービスを使い、週に2、3回、運動や買い物のため外出しています。