【肉声入手】陥落した「二階俊博」が、選挙戦最終日「最大の失敗」となった問題発言
「どうしても勝たねばならない」
冒頭、俊博氏はこう挨拶した。公の場で演説するのは、解散総選挙直前、自民党本部で記者会見して以来のことだ。二階氏の支援者のひとりも言う。 「真打登場とばかりに、演説会は盛り上がりましたね。二階(俊博)先生は、声はしわがれて聞き取りにくいところもあったが、重病なんて感じはなく、とても元気そうにみえた」 支援者たちには、当初ひとことの挨拶だけと伝えられていたが、実際の二階氏の発言は長いものだった。 俊博氏の発言を再録しよう。 「おかげさまで、ここまで、精一杯、選挙戦を進めさせていただき、最後の日を迎えました。皆様のおかげで盛り上げてもらい、ここまでやってきた。しかし(選挙情勢は)今一歩です。新人だからやもうえないが、どうしても勝たねばならない、自由民主党の公認も頂戴している。この若者、押し上げてもらい、和歌山で育ちの若者を国政に送ってください」 執念で、息子への最後の投票を依頼しているのだ。さらにこうも語った。 「本当に新人らしからぬ選挙を展開してきた。それも皆様が一生懸命に手助けして、引っ張っり上げて頂いたからです。選挙のチャンスをいただいたからです。もう残された時間はあまりありませんが、(当選すれば)ご恩に報えるようにやります。故郷のためにやりますので、皆様の力をこの若者に結集して下さい。結集してはじめて、ご恩に報えるのです。故郷をよくすることができるのです」 こう伸康氏への支援を訴えた俊博氏だが、最後は 「これ以上、私から話すことはもうありません。ぜひ押し上げていただきたい。長い間、ありがとうございました」 と締めくくり、大きな拍手に包まれた。 ただし、父親の俊博氏の発言内容に不満を漏らす人も少なくなかった。
なぜ負けてしまったのか
世耕氏は演説の冒頭では、いつもお決まりのように、裏金事件に触れて「大失敗をしました」と述べ、横に寄り添う元参議院議員で妻の林久美子氏も一緒に頭を下げていた。このパフォーマンスが、地元の有権者に好意的な印象を与えていた。 ところが、長く父親の俊博氏の秘書を務め、裏金について知っていた可能性もある伸康氏は、裏金問題についてほとんど謝罪することはなかった。「政治とカネの問題、政治資金の改革をする」とまるで他人事のような演説が定番だったのだ。 二階氏の支援者のひとりは表情を曇らせてこう語る。 「二人とも世襲議員ですが、どちらも応援してきた。伸康氏と世耕氏の両方のポスターを貼っている家も多いのです(現代ビジネス記事参照)。 父親の俊博先生が最後の最後に出てきて、自身も謝罪し、伸康氏に『お前も』と頭を下げさ、それをマスコミに出すのではないかとも思っていた。しかし、裏金事件のことはなんら話がでなかった。 あの場で、マスコミも入れて声を大にして謝罪すれば、形勢もかなり違ったはずで、ここまで負けることもなかったように感じる。父親の俊博先生には、がっかりした人もけっこういるはず」 二階氏の陣営関係者もこう振り返る。 「世耕氏の裏金事件での『大失敗』発言がうけていたので、こちらも何かインパクトある言葉を期待していた。だが、結局は何もなしで逆に票を減らしてしまったのかもしれない。それに父親の俊博先生が、政界引退時の『馬鹿野郎』発言にも 根強い反感があります。ただ、父親の俊博先生に、こうしゃべってくれと言える人は誰もいないから……」 その後、二階氏の陣営は、選挙当日に「当選のバンザイを撮影させてほしい」と打ち合わせを希望するメディアに対して 「当選するかどうかわからん」 「午後6時からカメラの準備? そんな早くすることないやろ」 などと「塩対応」が続き、メディアからも反発を受けていた。負けるべくして負けた二階氏、比例復活もならず、和歌山2区の二階王国はついに崩壊した。一方、早々に自民党会派への復帰も報じられる、世耕氏。高笑いだけが聞こえてきそうだ。
現代ビジネス編集部