ハースF1、トヨタと交渉へ……TGR-Eが持つ風洞やシミュレータの活用が焦点に。なおフェラーリ&ダラーラとの関係は継続
小松礼雄代表率いるハースF1は、ドイツ・ケルンに拠点を置くTOYOTA GAZOO Racing Europe GmbHの一部施設を使用するため日本側と協議を行なっているようだ。 【動画】レッドブル、市販ハイパーカーRB17を公開。その性能はF1マシンと同等? ハースとトヨタのコラボレーションが実現した場合も、チームはシャシーコンストラクターであるダラーラとの技術協力を継続し、引き続きフェラーリ製パワーユニット(PU)を使用すると見られる。ただ、風洞やシミュレータに関してはフェラーリとの関わり合いが減ることになるようだ。 ケルンにあるTGR-Eの施設は、かつてトヨタのF1プログラムの本拠地であり、現在は世界耐久選手権(WEC)をはじめとするモータースポーツ活動に使用されている。 ただトヨタがF1から撤退した後も、施設としてはF1との関わり合いを常に持ってきた。ケルンのテクノロジーハブは今でもF1における“ランドマーク”であり、昨年まではマクラーレンが風洞を使用し、新規F1参戦を目指すアンドレッティがスケールモデルを初めて空力テストした場所でもある。 ハースが興味を持っているのは、2016年のF1参戦以来使用してきたフェラーリの風洞から、トヨタの風洞に移行する可能性と、その施設で利用できるその他設備にある。 少なくとも現時点では、トヨタがF1プログラムに参加するといったことや、チーム買収の可能性はない。またハースは、シャシーやその他F1用コンポーネントを製造するダラーラともパートナーシップを継続すると認めており、このパートナーシップは来季で10年目を迎える。 ハースがトヨタと合意に至った場合、チームとフェラーリとの関係性が薄まり、フェラーリの本拠地、イタリア・マラネロにあるハースのサテライト施設とのコラボレーションは縮小されることになる。 トヨタと合意がなされれば、ハースは外部施設扱いのシミュレータをはじめとするケルンの施設を使用できるようになるが、その協力関係の規模がどの程度になるかはまだ明らかになっていない。 トヨタはF1の好調ぶりを遠くから見守っており、今年のイギリスGPではTOYOTA GAZOO Racingのゼネラルマネージャーである加地雅哉がハースのガレージを訪問しているところが目撃された。 また、トヨタからWECに参戦するファクトリードライバーの平川亮は、マクラーレンのリザーブドライバーを担当。トヨタは昨年スーパーフォーミュラとスーパーGT GT500クラスを制したファクトリードライバーである宮田莉朋の今季FIA F2参戦プログラムもサポートしている。 しかし今のところ、トヨタの正式な形でのF1復帰や、パワーユニットの設計に関わるような活動に結びつくような兆候は見られない。
Roberto Chinchero