【プリンス関東1部】2年連続PO出場権を得た浦和ユース それでも笑顔がなかった理由
12月1日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 関東1部の最終節5試合が行われた。日産フィールド小机では横浜F・マリノスユース(以下・横浜FMユース)と浦和レッドダイヤモンズユース(以下・浦和ユース)が対戦し1‐1で引き分けた。 【フォトギャラリー】 横浜F・マリノスユース vs 浦和レッドダイヤモンズユース リーグ全日程を終え、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2024プレーオフ(以下PO)進出をすでに決めている横浜FMユースは勝点「37」の2位。一方、PO残りひと枠を賭けた浦和ユースは矢板中央と同じ勝点「35」に並んだものの、得失点差で上回り、3位が確定。2年連続PO出場権を獲得した。 先制は横浜FMユース。前半11分、セットプレーの流れから最後はFW18エルシャータブ ブライト海(3年)が左足で豪快に決め、先手を取った。追いつきたい浦和は前半20分過ぎからサイドチェンジから相手陣内に迫り、チャンスを演出し攻撃にリズムが出始めた。迎えた40分、浦和ユースはロングスローから最後はFW9照内利和(3年)が決め、同点に追いつく。 後半に入り、試合は浦和ユースペース。FW9照内のほか、FW4 白井桜介(2年)、FW10 会田光希(3年)を中心に最後まで相手ゴールに迫り、CK、FKで多くのチャンスを作った。しかし決定力不足、そして横浜FMユースの粘り強い守備でネットを揺らすまでにはいかなかった。 浦和ユースの平川忠亮監督は結果を踏まえ「勝って、(リーグを)2位で終えることを目指していました。ただ選手には『POに進んだことは胸を張っていい』と伝えました」と答えた。またFW9照内は前節の東京ヴェルディユース戦で出場停止。試合は1‐0で勝ったものの、本人は忸怩たる思いはあったはず。 「(東京V戦で)みんなは気持ちを見せて戦ってくれて、つなげてくれました。今度は『自分がやる番だ』という気持ちでした」と、やるせなさを力に変えたゴールはPOに導くものとなった。 後半アディショナルタイム4分の表示。引き分ければ、浦和ユースのPO出場権決定となる。喜びの瞬間を撮るべく、ベンチ近くに移動。逆光、厳しいなか、シャッターチャンスを狙った。終了のホイッスル。「さぁ、いよいよ」とカメラを構えたがイレブンに喜びの表情はなかった。たしかに達成感なるものはうかがえた。だが笑顔は微塵もなかった。その真意とは。 「きょうの試合は勝つことを目指していましたが結果は引き分けでした」(GK25小森春輝・3年) 「今季、目標にしてきたので、ホッとした気持ちでした。内容を振り返れば、後半ハーフコートゲームのような試合でしたが1点も取れずに終わってしまいました。そこが課題ですし、どちらかと言えば、内容は良くなかったです。昨年の悔しさを知っている3年生としては『このままじゃいけないな』と気持ちを引き締めていたと思います」(DF28阿部慎太朗・3年) 「(会場の)広島に行くことが決まっただけで本当の勝負はこれから。目標はプレミアリーグ昇格であることをみんな共通認識として持っています」(9照内) たしかにそうかもしれない。攻め続けて横浜FMユースの倍以上の14本のシュートを放ちながら、1点止まり。失点は相手の個人技はあるものの、防げたはずの失点。手ごたえはある。しかし、これでは去年の二の舞になりかねない。そんな危機感がそうさせたと言える。 「もし笑顔だったら、ガツンと言わなければならないなと思っていました。少し前の彼らなら、よっしゃー!と喜んだかもしれませんね」と平川監督。 ここで浮かれなかったこと。そこがチームの成長。 平川監督は「勝ちに行く姿勢は彼らの特長。引き分けで誰も満足している選手はいません。(会場の)広島に行くだけじゃなく、その先を目指すなか『もっと良いプレーができた』『もっと勝てたんじゃないか』そうした悔しさが見えたことがポジティブに感じます。これで満足されては困る。その先があるので」と話す。 そしてもうひとつ。先月24日、平川監督の来季、J3・FC琉球OKINAWAで監督を務めることが発表された。指揮官によれば、東京V戦後にその旨を伝えたそうだが、目立った影響はなく「1週間、何も変わらず、プレーしていました」(平川監督)ということ。 選手の心の内はわからないが、チームが目の前の試合にむけ、心身ともに粛々と準備し、実践できたことは指揮官のいう成長、ポジティブな点と言える。 2年連続PO出場権を得た浦和ユース。会場は昨年と同じ広島。「広島の借りは広島でしか返せない」と腕をまくったFW9照内。PO第1戦は12月6日に行われる。 (文・写真=佐藤亮太)