【50代に読んで欲しい本】読み始めたら止まらない!芥川賞作家の「恋愛小説集」
芥川賞受賞のベストセラー「おいしいごはんが食べられますように」著者が放つ、恋愛小説集など、 読み始めたら止まらない4冊をご紹介。 【写真】まだまだある!50代女性に読んでほしいおすすめ本
『新しい恋愛』
『新しい恋愛』 高瀬隼子 講談社 ¥1,760 5編とも恋愛をめぐる話なのに、トキメキは皆無。好きな人への思いが他人の評価で少しずつ削られてしまったり、26歳年下の女性と結婚した上司の好感度が激落ちしたり……。自分でも認めたくないいびつな感情や、漠然と感じていた違和感を、芥川賞作家が見事にすくいとる。
『ヘルシンキ 生活の練習はつづく』
驚きと気づきの連続。考えるのが楽しくなる北欧レポート 朴 沙羅 筑摩書房 ¥1,980 ヘルシンキ大学で日本文化や社会について教えるため、夫を日本に残し、’20年に母子3人でフィンランドへ。同僚や学生、ご近所さんとの付き合い、子供たちが通う学校や保育園の様子などが、京都弁を交え軽やかにつづられていく。京都で生まれ育った日韓ミックスの社会学者によるレポートは、日本とフィンランドの違いをよしあしで断ずるのではなく、おもしろがる。自分の中にしみついた“あたりまえ”にメスを入れ、多様性を認めて楽しむハート育てのヒントが満載だ。
『ピアノを尋ねて』
かなわなかった夢が悲しみを奏でる台湾発の音楽小説 クオ・チャンシェン 倉本知明/訳 新潮社 ¥2,145 天賦の才に恵まれながらピアニストへの夢破れ、調律師となった中年男。孤独を友として生きてきた彼の現在と過去、あきらめても尽きぬ音楽への憧憬が、シューベルトらクラシックの巨匠たちの苦悩も織り交ぜ語られていく。物語から、悲しく美しい旋律が聞こえてくるよう。
『ことばの番人』
校正者たちの精緻な仕事ぶりに感動&感謝 髙橋秀実 集英社インターナショナル ¥1,980 本づくりの“裏方”たちに取材したノンフィクションが、こんなにおもしろいなんて! 時代による言葉の変化や著者の個性に配慮しつつ、より正確でわかりやすい文章を目ざす奮闘に頭が下がる。『古事記』から始まる校正の歴史、憲法にもある誤植など、ウンチクの数々も楽しい。 撮影/三浦 晴 原文/細貝さやか ※エクラ2024年12月号掲載