米司法省がGoogleに「Chrome」売却要求……SEOはこれから「崩壊」するのか?
GoogleやX、Instagramといった巨大プラットフォームを利用したビジネスの成長戦略が今、変化を迎えようとしています。 【画像】生成AIを組み込んだ検索エンジンは急速に普及 生成AIの登場によりゼロクリックリサーチ(検索結果ページで知りたかった情報を入手すること)が増え、「『SEO対策で上位表示させ、集客する』というマーケティング手法が通用しなくなるかもしれない。」「消費者は企業(広告)より個人を信頼する傾向にあるため、Webサイトへの訪問がますます減少するかもしれない」――このような、これまでの集客における方程式の崩壊が危ぶまれています。 さらに11月18日、米司法省がGoogleの検索市場における独占状態を改善するため、同社のWebブラウザ「Chrome」事業の売却を裁判所に要請する方針であることが明らかになりました。 これはMicrosoftに対して行われた2000年の独禁訴訟以来の、テック企業を制限する最も大規模な動きです。 この訴訟の結果次第では、Web広告やSEO対策の業界構図が大きく変わる可能性があります。 果たしてSEOによるWebマーケティングは本当に崩壊してしまうのか。本業界に身を置く者として考察してみたいと思います。
Google検索が生成AIを依然圧倒
まずは生成AIの登場以降、Google検索のシェアはどのように変わったのかを見ていきましょう。 Google検索と生成AI検索の利用状況を比較すると、現在もGoogle検索が圧倒的に多く使われています。Google検索は1日当たり85億回以上の検索が行われており、その規模は生成AI検索をはるかに上回っています。 一方で、生成AI検索の代表格であるChatGPTは、世界で1億8050万人以上のユーザーを獲得しており、急速に普及しています。 GoogleがAI機能を検索に組み込んだSGE(Search Generative Experience、現:AI Overview)も注目を集めています。日本では20歳~69歳の約4割がSGEを認知し、そのうち6割が使用経験があると報告されています。 また、SGEユーザーの91.4%が欲しい情報を得られていると回答し、60.8%が検索結果の6割以上をSGEのみで完結させているという調査結果もあります。これらのデータから、生成AI検索の利便性と効果が認識され始めていることが分かります。 生成AI検索の成長が著しく、今後の検索行動に大きな変化をもたらす可能性はありますが、現時点でもまだまだGoogle検索が主流といえます。