ヤンマガ史上最速でヒット『ねずみの初恋』作者は「読者をどん底に突き落としたい」。殺し屋少女のピュアで残酷な恋物語はどんな結末を迎えるのか?【大瀬戸陸インタビュー】
大瀬戸:本作でも、ねずみちゃんとあお君の周りの環境がどんなにひどくなっても、2人の純愛はブレないよう描き切りたい。愛や人間関係のかたちも多様化している現代ですが、読んだみなさんが純粋に、2人の関係性を「良いな」と思える内容を目指しています。
『ねずみの初恋』のストーリーは「ある程度決めている」
――本作は純愛、ラブコメ要素もありながら、スプラッタ的なシーンも散りばめられていますよね。
大瀬戸:自分的にはその表現はめちゃくちゃ減らして、かなり優しく描いているつもりですが、「怖い」と言われることはやはりあるみたいです(笑)。 ――その辺は、読者の反響なども見ながら調整しているのですか。 大瀬戸:ごくたまに見ます。ただ、その声を反映させてることはありません。ストーリーも、構想段階からある程度決めているので、誰かの意見に流されることなくその展開までしっかり持っていくつもりです。 ――お話を伺っていると「冷静に振り返る」視点と、それを次に活かす姿勢を常に持っていらっしゃるのかなと思います。本作を描く中で、気づいたことや変化した考えなどもあるのでしょうか。 大瀬戸:あります。構想段階では、もっとラブコメチックになるイメージがありました。でも描き終えて振り返ったり、頭に描いたものをネームに起こしたりすると、割と生々しい恋愛になる傾向にあるんだなと。逆にそれが良いな、とも思っているんですが(笑)。 ――構想段階で流れは「ある程度決めている」とおっしゃっていましたが、表現の仕方や、細かな展開みたいなところを後で決めているということでしょうか? 大瀬戸:流れは決まっているけど、どこに視点を当てるかという感覚でしょうか。「ここにクローズアップしなくてもいいだろう」みたいなところにフォーカスすると、他の漫画にない展開や世界観が出るので、その寄り道の仕方を考えている感じです。 例えばあお君が人殺しの特訓をするシーン。第4話で、「ナイフを使って練習をしよう」となり、第5話ではナイフに慣れるために、あお君がねずみちゃんの首に恐る恐るナイフをあてる。第6話は、ナイフの扱いと体の動きを反復練習するだけなんですよね。