台湾最大野党の元党首が原発抗議で無期限ハンスト突入/台湾
両岸サービス業貿易協議の是非をめぐる、学生らによる国会占拠騒動が一段落した台湾で、またも大きな騒動が発生した。台湾の最大野党・民進党の元党首、林義雄氏(72)が、台北市にほど近い新北市に建設中の「第4原子力発電所の廃止」などを訴え、4月22日から無期限のハンガー・ストライキを始めた。林氏は死を覚悟しており、一切の救急手段を拒否している。林氏の行動を受けて、反原発運動、反馬政権の動きが再び活発化し始めた。
■原発の建設中止を訴え、元野党党首が断食 林氏は1979年12月、反独裁運動に関与した罪で投獄。その翌年2月28日、何者かに母親と6歳の双子の娘が自宅で殺害され、8歳の長女も襲われて重傷を負ったが、一命を取り留めた。林氏は民主化運動や社会改革への貢献度などから、「人格者」などと評され、党派を超えた人望がある。今回ハンガー・ストライキを行っている建物は、家族が殺害された家を建て直した教会だ。
■支持者が学生撤退後の国会を再び包囲も排除 林氏の行動を受け、4月11日に台北市で発生した「警察署包囲」事件の当事者である団体「公投護台灣聯盟(住民投票で台湾を守る連盟)」の総発起人・蔡丁貴(さい・ちょうき)氏は支持者を連れ、4月22日朝から立法院を包囲した。夜になって警察が強制排除したため、もみ合いとなり、蔡氏ら11人が公務執行妨害で逮捕された。その後、およそ300人の支持者や反原発団体が立法院周辺に集まり、警察へ蔡氏の釈放を要求。立法院の包囲活動は現在も進行中だ。 ■断食中の林氏に馬総統「住民投票で」と提案 一連の抗議活動を受けて、4月23日午前、馬総統は林氏がハンガー・ストライキを行っている教会を訪問。林氏は面会を一切断っているため会うことはできず、カードに林氏へのメッセージを書いて、報道陣の前でカードの内容を読んだ後、その場を去った。馬総統は、このカードで「第四原発の安全性が専門家によって確認できた後、建設の是非は住民投票に委ねる」と約束した。 林氏は24日午前、馬総統からのメッセージを見た後、「憲法が総統に与えている職権は、外交と国防に関することのみ。原発問題は外交でもなく、国防でもないため、馬総統は干渉する権力がないし、干渉すべきでもない」と述べ、また「住民投票に委ねるなら、まずは国会が住民投票のハードルを下げるべきだ」と話した。