外国人の移住先ランキング、金銭面でベトナムが4年連続首位 総合ランクトップは「幸せ感」でパナマとメキシコ
総合上位のパナマ・メキシコ・インドネシア、「幸せ感」が突出
一方、個人の財政状況だけでなく、生活の質や居心地、仕事、社会インフラなどをすべて加味した総合ランキングでは、前年に3位だった中米のパナマが1位に躍進した。日本ではおそらく「パナマ運河」以外を想起しにくい遠い国だが、気候が快適な自然の宝庫であると同時に、公共交通機関や医療システムの点でも評価が高いという。 この調査の回答者の多くは、欧米出身者だと思われるが、パナマは彼らにとって非常に居心地の良い場所であるらしい。「自宅のようにくつろげる」との答えが73%(世界平均58%)、「歓迎されている」が81%(同63%)、「地元の文化に馴染みやすい」が74%(同59%)。5つの主要指数を見ると、「生活の質」が16位とやや低い順位ながらも、その他指数は総じて上位。パナマ在住者の82%が「幸せ」だと回答している(世界平均68%)。
2位のメキシコでは、「幸せ」との答えがパナマを上回る89%。人々がフレンドリー、歓迎されていると感じるとの答えも世界平均より20ポイント以上高く、地元の文化に馴染めるとの回答率は53カ国中トップ。行政の官僚主義や銀行口座開設時の手間などで評価が低かったものの、やはり居心地の良さで際立った。 また、3位のインドネシアでも「幸せ」との回答がやはり84%の高水準。この3カ国は一部に社会インフラの不備こそあれ、居心地という点でそろって上位。要するに、土地や現地社会の魅力、時間・金銭面の余裕により、在住者の「幸福感」が強いことが共通点だ。 逆に、最下位常連となってしまったクウェートは、「生活の質」指数と「定住しやすさ」指数で53カ国中最下位。公共交通機関の利用しやすさ、気候、自然環境、医療、さらにはフレンドリーさなどの指標が最下位あるいはそれに近い順位にあり、ビザ取得の難易度や官僚主義的対応に関する不満が強いことも明らかになっている。
日本は微妙な順位、生活の質で上位も働きやすさと必須要素で45位
ここで『Expat Insider 2024』の日本の順位を見てみたい。まず「個人ファイナンス」指数は29位と、ほぼ真ん中あたり。香港とイタリアに挟まれた微妙な位置だ。長く続いたデフレと円安効果で、インバウンドでは「とにかく安い」と人気を集める日本だが、在住者の満足度が低いのは、日本国内での所得の低さが一因か。日本が2021年版『Expat Insider』で総合54位(59カ国中)に沈んだ際も、個人ファイナンス指数は54位という低い順位。26%(世界平均19%)が自らの経済状況に不満だと答えた。 その後、2022年以降は円安が急速に進行しており、日本円で給与を受け取るケースにおいては、米ドルに換算した際の“目減り感”は避けられない。外国企業の駐在員やデジタルノマドなど、米ドル建てで給与を受け取る在住者とは、このあたりの感じ方が大きく異なりそうだ。ちなみに2021年版において、日本は水道・衛生インフラ、個人の安全性、平和さで高い評価を受けたが、その一方、現地の文化に馴染めないとの声やワークライフバンスへの不満が、総合順位を押し下げた要因だった。