「果物」を食べるとうつ病発症のリスクが低下する!?【45歳以上を対象にした研究結果から明らかに】
新しい研究によると、果物を十分な量を食べていれば、うつ病発症のリスクが軽減する可能性がある。 うつ病は、世界的に公衆衛生上の大きな問題である。世界保健機関(WHO)によれば、全世界で成人の推定5%がうつ病を患っており、約2億8000万人がうつ病を発症している。うつ病は男性よりも女性の方が約50%多く、低・中所得国では75%以上の人が治療を受けていない。 ニューサウスウェールズ大学シドニー校Centre for Healthy Brain Ageing (CHeBA)のアナベル・マティソン博士が率いる新しい研究は、高齢者や低・中所得国の人々に対する研究エビデンスの欠如に初めて取り組んだ。 「若年成人のうつ病と比較して、高齢者のうつ病は身体的パフォーマンスや認知に大きな影響を及ぼし、生活の質の低下や死亡率の上昇に関係しています。本研究の目的は、45歳以上の成人における果物と野菜の摂取量とうつ病との関連を調べることです。」とマティソン氏は語った。 <写真>「果物」を食べるとうつ病発症のリスクが低下する!?【45歳以上を対象にした研究結果から明らかに】 ■果物の摂取量が多いほどうつ病のリスクが低い この研究の参加者は、米国、スウェーデン、ブラジル、ナイジェリア、マレーシア、オーストラリアなど、6大陸の複数の地域から集められ、うつ病を発症していない成人7,801人を対象に行われた。 参加者は、総合的な食物摂取頻度アンケート、食物及び食生活のアンケートにより、果物と野菜の摂取量を自己申告した。抑うつ症状は臨床的に検証された尺度を用いて評価され、Cox回帰法を用いて、3年から9年の追跡期間における摂取量とうつ病の関係を調べた。 この結果、9年間にわたり、果物の摂取量が多いほどうつ病のリスクが低いという有益な関連が明らかになった。 「果物の摂取量とうつ病のリスクとの間に予防的な関連があるというこの興味深い発見は、ヘルスケアにおいて食生活にもっと焦点を当てる必要性を示しています。」とマティソン氏は話す。 ■野菜よりも果物にうつ病との有益な関係 また、野菜摂取とうつ病リスク低下との間に有益な関係があることも示唆されたが、統計学的に有意ではなかった、と彼女は付け加えた。 「野菜の摂取量ではなく、果物の摂取量に有益な関係が認められたのは、野菜は一般的に加熱調理されるため、栄養素の含有量に影響が出る可能性があるのに対し、果物は一般的に生で摂取されるからかもしれません。」と彼女は説明した。 果物や野菜に多く含まれる抗酸化物質、食物繊維、ビタミンが、それらの炎症、酸化ストレス、腸内細菌叢における役割等、様々なメカニズムを通して、うつ病に有益な影響を及ぼす可能性が示唆されている、と研究者らは述べている。 さまざまな果物や野菜はそれぞれに異なる栄養プロファイルを持つため、種類によってうつ病リスクへの影響が異なる可能性もある。この研究では、柑橘類と緑の葉物野菜がうつ病のリスク低下と関連するというエビデンスが特に強いと記している。 この研究の共著者であるヘンリー・ブロダティ教授は、今後、特に低・中所得国において、標準化された測定法を用い、より多くの高齢者に焦点を当て、さまざまな種類の果物や野菜の摂取を調査する研究が、ぜひとも必要であると述べている。 出典: Research suggests higher intake of fruit reduces development of depression|UNSW SYDNEY Centre for Healthy Brain Ageing (CHeBA) Eating more fruit may reduce your risk of depression, study finds|Newshub. Eating more fruit may reduce your risk of depression|Medical Xpress 文/HIDEMI
HIDEMI