エンジンオイルは、減る? 減らない?
エンジンオイルは「バイクの血液」
エンジンオイルは、エンジン内部のピストンやシリンダー、トランスミッションなど複雑に組み合わさって高速で動く金属部品の「潤滑」を行なうのが主な役目です。他にも部品同士が擦れ合って摩耗した微細な金属粉など、エンジン内部の汚れを吸着して「洗浄」したり、金属部品がサビないための「防錆」も行ないます。さらに爆発(燃焼)で生じた熱を吸収する「冷却」や、爆発エネルギーを逃がさないための「密封」など、多くの仕事を受け持っています。 【画像】エンジンオイルは、減る? 減らない? の画像をもっと見る(10枚)
それだけにエンジンオイルは「バイクの血液」と呼ばれるくらい重要な存在なので、常に適正な量が入っていなければなりません。そのためバイクのエンジンには、オイルの量を確認するチェック窓やゲージが装備されています……が、そもそもエンジンオイルは、走っているうちに減るモノなのでしょうか? その答えは、エンジンの形式によって異なります。
ほとんどオイルが減らない、4ストロークエンジン
まず、現行バイクの大多数を占める4ストロークエンジンの場合、エンジンオイルはあまり減りません。近年のバイクであれば「ほとんど減らない」と言って良いかもしれません。 とはいえピストンとシリンダーを潤滑・密封するために使われるエンジンオイルは、ガソリンと空気の混合ガスが爆発(燃焼)するたびに、ホンの僅かですが一緒に燃焼して排気ガスに混じって排出されるので、その分は徐々に減少して行きます。 しかしその量は、エンジンが正常な状態ならば、まったく問題にならないほど非常に微量です。メーカーが指定するエンジンオイル交換の走行距離(国産メーカーでは、車種にもよるが概ね6000km)なら、その間にエンジンオイルを注ぎ足さなければならないほど減ることはありません。 もし、4ストロークエンジンで目に見えてエンジンオイルの量が減っている場合は、おそらく何らかの故障です。
たとえば「オイル下り」や「オイル上り」によって、シリンダー内に入ったエンジンオイルが燃焼している場合は、マフラーから相応に白煙が出ます。また、単純にクランクケースや各部の継ぎ目からオイル漏れを起こす場合もあり、これだとエンジンの下まわりが垂れたエンジンオイルでベタついて汚れたり、いつも停めている駐車スペースにオイル染みができたりします。 いずれの場合もエンジンのトラブルなので、速やかに専門店で点検や修理をしてもらう必要があります。 ちなみに、現行モデルの4ストロークエンジンは、ピストンやシリンダー、カムやバルブ、クランクシャフトなどのエンジン部分と、トランスミッション(変速機)の潤滑を同じエンジンオイルで行なっているのが主流です。ただしハーレーダビッドソンのように、エンジンとトランスミッションに別々のオイルを使う場合もあります。