4年40億円以上の好条件も及ばず…R・マルティネスの中日退団が決定 気になる「ライデル資金」の行く末
これまでには考えられない巨額オファー
覚悟はしていたが、いざその報せを聞くと悲しい気持ちが込み上げる。 中日を自由契約となっていたライデル・マルティネスが14日、正式に退団の運びとなった。球団は残留要請をしていたが、この日までに断りの電話が入ったという。 【動画】相手に絶望を! 中日守護神マルティネスの快投シーン 複数メディアの報道によると、球団はライデルに4年総額40億円以上の条件を提示したそうだ。単純計算にして年俸10億円前後。これまでの中日では考えられないレベルのオファーにびっくりしたファンも多いのではないか。試合の中では1イニングしか任されない「抑え」のポジションだけに、割高との声もあるだろうが、それだけライデルの存在が球団はもちろん、チーム内で絶大であった証明と言える。 2017年に育成契約で入団した頃のライデルは、乱暴な表現で言うと「ヒョロヒョロ」な痩身の投手だった。そこから日本式のトレーニングでコツコツと身体を大きくし、気づけば「12球団No.1クローザー」の称号が似合う威圧感を身につけていた。打者をねじ伏せる豪速球に目を奪われがちだが、制球力や守備能力の高さもトレーニングの賜物だと言えた。その努力を怠らない姿勢は助っ人の中でも異彩を放った。 クローザーに定着してからの活躍について、今さらここで言う必要はないだろう。確実に言えるのは、ドラゴンズでの8年間は間違いなくライデルを成長させた。彼のことを球団、チーム、そしてファンの誰もが信頼した。その存在は単なる「助っ人外国人」ではなく、チームの精神的支柱ともなっていた。 残念ながら、ドラゴンズのために腕を振り、勝利をもたらした日々に終わりを告げなければならない。「東京の球団にお世話になる」と断ったという本人の意向にある通り、近日中に巨人との契約合意が発表されるのだろう。 ドラゴンズにまつわる関係者は、ライデルから有形無形の恩をたくさんもらったはずだ。今こそ、その恩返しをしなければならない。来季、高い壁として立ち塞がる彼を打ち崩すことを期待したい。 一方で、気になるのは「ライデル資金」の行く末だ。これだけの資金を用意できるのなら、大物外国人の獲得や本拠地などへの設備投資に回せるのでは、と考えてしまうのは筆者だけか。 まず何よりも注目すべきは先発投手の補強。ずばり、トレバー・バウアーの獲得に動かないかを注視したい。井上一樹監督が地元ラジオ局で「中4日でも回れるようなタフな投手」と補強ポイントを語っていたが、バウアーはまさにうってつけの存在。古巣・DeNA入りが噂される中、バウアーのタフさや独特なキャラクターが投手陣に化学反応を起こしてくれたらと願う。 そして、「ホームランテラス」の設置。これもどうにか実現の目処が立つのを願う。今や「打のチーム」になりつつある中日にあって、話が進めば、追い風になるはずだ。 [文:尾張はじめ]