多くの人が間違っている「人生の終わり方」…終活で「幸せになる人」と「不幸になる人」の決定的な違い
人の価値は最後に決まる
人間というのは、勝ち負けにこだわる生き物です。競争社会で生きていくうちに、自分自身の勉強や仕事の成績、果ては子や孫の入学先や就職先まで、周囲に勝つことに意義があると信じ込んでしまう人は、少なくありません。自分や他人の人生を、収入や社会的地位から「勝ち組」「負け組」に分けて考えるような価値観も、根強く存在しています。 しかし、人間の本当の幸福は、仕事でうまくいくとか、金持ちになるとかの物差しだけで測れるものではありません。 俺は一流大学を卒業し、一流企業に就職して出世し、お金をたくさん稼いで、家族にさんざん贅沢をさせてやった。どうだ、偉いだろう。俺は勝ち組だぞ。ワハハ――と笑いながらあの世へ旅立つ。それだけの人生では、あまりにも寂しいですね。 人間にとって本当の幸福は、人生の最後に心安らかでいられることだと私は思います。死ぬ間際に、家族や友人に「ありがとう」と感謝し、「失敗もいろいろしたけれど、人を裏切ったり、傷つけたりすることはなかった。自分の人生は幸せだったな」と清々しい気持ちになれるなら、最高の人生を送ったと言えるのではないでしょうか。 たとえ仕事がうまくいかなかったとしても、金銭的に豊かではなかったとしても、人として過ちを犯すことなく生き、「ああ、よかった」と、安堵の一息を遺して旅立てる人こそが、人生の真の勝利者だと思います。私もそうやって人生を終えたい。人間として誠実に生きることができたと思えれば、最高です。 いつか迎える最期のとき、私たちの死に顔が、それぞれの幸不幸を語ってくれることでしょう。“人”の価値は、最後の最後に決まるのです。 さらに連載記事〈ほとんどの人が老後を「大失敗」するのにはハッキリした原因があった…実は誤解されている「お金よりも大事なもの」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。
丹羽 宇一郎