2024年6月、北名古屋市にオープンしたチョコ専門店。テリーヌショコラや生チョコなど、おいしそうなチョコレートが並びます。商品を手がけたのは、障害福祉サービス事業を行う株式会社アイリスです。「どんな人でも平等に働ける場所を提供したい」という思いからオープンしたといいます。そんなアイリスの社長の思いに迫ります。

スーパーで付加価値をつけてチョコを売る

就労継続支援B型の工賃の安さが課題に

「就労継続支援B型の利用者の工賃が低いんです」。そう話すのはアイリスの溝畑幸宏社長。一般企業と雇用契約を結ぶことができる就労継続支援A型に対し、B型は雇用契約を結ばず“工賃”として報酬を受け取ります。短時間作業で自由度がある反面、工賃は月額1万8000円程度と低いのが課題です。 障害がある人にも高い工賃を支払いたい――。そこでアイリスが目をつけたのが、付加価値をつけてチョコを売ることでした。

カカオ豆の皮を剥いている様子

作業場をのぞいてみると、カカオ豆の皮を1つひとつ丁寧に剥いていました。もともと薄茶色だったカカオの豆が、皮を丁寧に剥くと、こげ茶色のカカオに変身。 アイリス 溝畑幸宏社長： 「皮自体はカカオではなく雑味などが含まれていて、あまり入らないほうがいいものなんです。うちは障害者施設だから、すべて手作業で皮を選別しています」

株式会社アイリスが手がけた「憧れの生チョコ」

機械でカカオの豆の皮を剥く店も多いのですが、手作業で皮を剥くことで、より渋みや雑味が少ないチョコレートになるといいます。

溝畑社長

「まだ事業は走り出したばかりですが、ゆくゆくはチョコづくりを通して障害が重い人にも働く場を提供していきたい」と話す溝畑社長。 溝畑社長： 「チョコレートをたくさん売って、最低賃金ぐらいのレベルでお支払いできるような事業所にしていきたいですね」