「コロナ飲み薬」開発競争で海外勢を猛追する国内製薬株
新型コロナのワクチン開発で欧米の後塵を拝した日本企業。だが、佳境に入った経口剤開発では急速にキャッチアップしつつある(イメージ写真:metamorworks/PIXTA)
衆議院の選挙戦がスタートした。本来、衆議院選挙は政権選択選挙であり、規制産業の代表の1つである医療関連セクターへの影響は無視できないものがある。しかし、今回の選挙は医療分野に対するリスクが相対的に大きくないといえる。 選挙により与野党逆転があるかどうかはさておき、当面の医療分野の政策課題は「新型コロナウイルスからの脱却」であり、与野党の政策にも大きな差は出がたい。政治と行政で意見の分かれるバラマキ予算などとは異なり、医療分野へのテコ入れには異論を挟む余地はあまりないからだ。 これまでの新型コロナウイルス対策はワクチン確保が大きなテーマだった。しかし、すでに国民の8割近くが1回目の接種を完了し、2回目の接種も7割近いレベルに達している。ここにきて、感染者や重症患者数は急激に減少。ブースター接種(追加接種)の実施は、国内外で意見の分かれるところだが、新型コロナ対策はようやく先のメドが見え始めた。 新型コロナの治療薬では、ギリアド社の「レムデシビル」や中外製薬(4519)の「カクテル療法」などが承認済み。しかし、「レムデシビル」はエボラ出血熱の治療薬として開発された薬剤であり、新型コロナ向けのものではない。一方、「カクテル療法」は抗体を複数活用する治療法であり、効果はある程度確認されているものの高価なうえに利便性が高いとはいえない治療だ。 新型コロナウイルスを完全に抑え込むにはやはり安価でかつ利便性の高い薬剤が不可欠。第6波の脅威を軽減するためにも経口治療薬の登場が待たれている。
本文:1,433文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
千住 厚