ホンダ「Eクラッチ」はマニュアル操作の上位互換!! ただの自動クラッチじゃなかった! CBR650R & CB650R 試乗インプレ
意地悪なシチュエーションを作って試してみるも、ケチのつけ所が見つからない
メディア向け試乗会が開催されたのは、クローズドコースの修善寺サイクルスポーツセンター。用意されたマシンは、ともにEクラッチ仕様のCBR650RおよびCB650Rの2車。ノーマル仕様はすでに発売済みだが、Eクラッチ仕様は2024年6月13日の発売予定となっている。 最初に乗ったのはネイキッド仕様のCB650R。エンジンを始動する前にメインスイッチをON/OFFしたり、ギヤをカチャカチャと上下させたりしながら様子を見た。 メインスイッチをONにするとEクラッチ機構のモーターが作動し、クラッチレバーの遊びが急激に増加する。そのときレバーを引いても最初の2~3cmはまるで手応えがなく、モーターによってレリーズが引かれてクラッチが切れていることがわかる。 面白いのは、その状態で1速に入れると瞬時にクラッチが繋がることだ。エンジンOFFで1速に入れるということは、坂道駐車などでマシンが動かないようにしたいという意図がある、そう判断されるのだろう。メインスイッチをOFFにすると、クラッチはゆっくりと繋がっていく。 エンジンを始動してサイドスタンドを払い、今度はそのままクラッチレバーに触れずに1速に入れてみる。普段やらない操作なので最初はエンストするんじゃないかとドキドキするが、アッサリと1速に入って拍子抜け。これでもう走行スタンバイだ。 発進はスロットルを開けるだけ。半クラッチの制御は絶妙で、しっかりと発進のためのトルクを得ながらも回転が上がり過ぎないところを使って走り出せる。さまざまなスロットルの開け方を試すと、弱めに開けると2000rpm弱で半クラッチ終了(後で聞いたところ1750rpmで繋がる模様)、強く開けると3500rpmまで半クラッチが持続する。発進ではこのように3500rpmまでの間で、スロットル操作に応じた半クラッチ制御が行われるようだ。 じゃあ、と発進途中で開け足したりすると、繋がりかけたクラッチはそのまま半クラッチをキープしだし、きちんと3500rpmまで回転が上がってから半クラッチを終了する。その制御は見事で、変に回転が上下したり半クラッチの度合いにムラがあったり、などということは全くない。いつ繋がり切ったのか完璧に把握することは困難なほど、半クラッチからクラッチ接続への移行もシームレスだ。これ、ほとんどのライダーより上手なんじゃ……。 ──パワーバンドでクラッチミートするようなフル加速には敵わないものの、十分以上に力強い発進加速が可能。