ラグジュアリー小売業者 ファーフェッチとマッチズが安売りの対象となった理由:Luxury Briefing
ファーフェッチとマッチズの売却で企業ブランドがShopifyに移行
両社とも現在の状況に陥る大きな要因となっていたのが、負債だった。ファーフェッチはユークス・ネッタポルテへの投資など多額の支出により、現在11.5億ドル(約1637.7億円)以上の負債を抱えている。2018年の上場初年度には10億ドル(約1424億円)以上を費やし、投資家のコンデナスト(CondéNast)はこれを懸念して2019年にファーフェッチの株式を売却した。マッチズの負債額は約2500万ドル(約35.6億円)と少ないが、損失額は四半期ごとに拡大し、年間約4100万ドル(約58.4億円)の損失を計上している。 「マッチズの買収は、長期的なビジネスの健全性を保つために小売パートナーへの依存を高めるのではなく、ブランドが独自のD2C戦略を構築することがいかに重要かという点をさらに浮き彫りにしている」と話したのは、eコマース企業スワップ(Swap)の共同創業者でCEOのサム・アトキンソン氏だ。ファーフェッチはマーケットプレイス、マッチズはネッタポルテのような卸売と、それぞれビジネスモデルは異なるが、どちらもブランドが販売するにはある程度のコントロールを放棄する必要がある。「今回ファーフェッチとマッチズが大幅な赤字で売却されたことで、企業ブランドがShopifyに移行し、自社のeコマースをコントロールするという動きが強化されるだろう。ブランドは、大規模なプラットフォーム小売業者の成功に自社の売上を賭け続けることはできない」。 マッチズでは再建に向けた努力が続けられており、10月にはマッチズ・アウトレット(Matches Outlet)をローンチした。これはオフプライスのスピンオフで、サックス・オフ・フィフス(Saks Off 5th)やノードストローム・ラック(Nordstrom Rack)のようになればマッチズの損失を補うことができるかもしれない。多くのオフプライスブランドは、親会社の経営を支えている。 フレイザーズグループのCEO、マイケル・マレー氏は、ラグジュアリー業界が現在厳しい状況にあることを認めている。 「世界的なラグジュアリー環境は軟化しているが、業界をリードするエコシステムを活用することで相乗効果を発揮し、マッチズの収益性の高い成長を促進できると確信している」と、同氏はeメールによる声明で語った。