データが示した「アジアで最も学ばない国」 現代の日本人から“勤勉”が消えた真相
「勤勉」なイメージの日本人。しかしパーソル総合研究所の調査によると、業務以外に自主的な学びを行っている人の割合はとても低いという。なぜアジアで最も「学ばない」国民になってしまったのか? 調査結果をもとにした、Reskilling Camp Company代表の柿内秀賢氏の解説を書籍『リスキリングが最強チームをつくる』より紹介する。 稼ぎ口の多さは「宅建」が最強...ミドル世代に役立つ資格一覧 ※本稿は、柿内秀賢著『リスキリングが最強チームをつくる 組織をアップデートし続けるDX人材育成のすべて』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。
なぜ、日本人は学ばないのか?
図をご覧ください。これはパーソル総合研究所が2019年に調査した「APAC(アジア太平洋地域)職業実態・成長意識調査」における勤務先以外での学習や自己啓発活動についての結果です。驚くべき結果なのですが、業務以外に自主的な学びを行っている人の割合が、日本はアジアオセアニア地域でワースト1位です。ワースト2位のニュージーランドと比べても日本は大差で学んでいないようです。 私が抱くステレオタイプな日本人像は「勤勉」でした。とりわけ近代史における目覚ましい産業の発展、科学技術の進歩、戦後の復興とともに経済大国にまで登りつめたストーリーには、日本人の勤勉性や忍耐力が少なからず寄与しているという理由が添えられていたように思います。歴史において、誇張された賛美や解釈があることを差し引いたとしても、最下位とはちょっと釈然としません。 羊の数が人の数より5倍も多いといわれるニュージーランドには、牧歌的なイメージを勝手に抱いていましたが、それと比較しても、日本人はぶっちぎりで学んでいないとはどういうことでしょうか。 調査結果に釈然としないままに、納得できそうな理由を探してみます。調査内容を詳しく見ていくと、「社外の自己研鑽」の設問内容と回答選択肢は、次のとおりでした。
Q あなたが自分の成長を目的として行っている勤務先以外での学習や自己啓発活動についてお知らせください。(複数回答/選択肢11項目) 「読書」「研修・セミナー、勉強会等への参加」「資格取得のための学習」「語学学習」「通信教育、 eラーニング」「副業・兼業」「NPOやボランティア等の社会活動への参加」「大学・大学院・専門学校」「勉強会等の主催・運営」「その他」「とくに何も行っていない」