新紙幣発行によって現金決済はどう変わる?なるべく現金を使わないキャッシュレス派の家計管理術
キャッシュレス決済比率はどのくらい?
一方で、キャッシュレス化はどのくらい進んでいるのか、経済産業省が算出したキャッシュレス決済比率をみてみましょう。 キャッシュレス決済比率は堅調に上昇しており、2023年は39.3%(126兆7億円)と4割に迫っています。 キャッシュレス決済の内訳をみてみると、クレジットカードが83.5%(105兆7億円)、デビットカードが2.9%(3兆7億円)、電子マネーが5.1%(6兆4億円)、コード決済が8.6%(10兆9億円)となっています。8割以上がクレジットカード決済であることと、コード決済の伸びが注目に値します。 政府は2019年6月の閣議決定において、「2025年6月までに、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」との目標を掲げていましたが、2024年中に4割達成する公算が大きいでしょう。
現金決済とキャッシュレス決済の今後
このままキャッシュレス化が進んでいけば、現金決済は過去のものとなってしまうのでしょうか。 政府は2025年の4割目標達成後は、将来的には8割までキャッシュレス決済比率を引き上げる目標を掲げています。IT社会の中でキャッシュレス化が進むのは必至です。 しかし現金決済の需要もしばらくは残っていくと思われます。その理由としては、現金信仰が根強いこと、ATMインフラが整っていることなどがあります。 現金信仰については、偽札が少ないこと(新紙幣発行でより強化)、災害時に強いこと、キャッシュレスに対するセキュリティ不安などがあげられるでしょう。 ATMについては、銀行ATMは2018年をピークに減少しており、今後も縮小していくと考えられますが、一方でコンビニ銀行のATMはシェアを拡大しています。 現金を手にする手段が依然容易であることも現金決済を利用する要因になっているでしょう。 そのほかにも、ITリテラシーに不安がある高齢者が取り残されないように、現金決済手段も残しておく必要があることも大きな理由となるでしょう。 日本はキャッシュレス決済業者が乱立しており、決済手段の選択に手間取ることも、高齢者にとってのキャッシュレス決済の難易度を高くしているといえます。 これらの理由はキャッシュレス化が早急に進まない理由であり、長い目で見れば、現金決済の利用は徐々に減少していくと思われます。