カインズ、サイボウズの人気オウンドメディア編集長に聞く! コンテンツのPDCAはどう回してる?
分析ツールの利用状況の表が以下だ。
「となりのカインズさん」では、ヒートマップ以外は利用している。 与那覇氏 ヒートマップを使わないのは、カインズはホームセンターなので、手触り感を大事にしているからです。人が読んだ時の読みやすさ、できるかぎり定性的な感覚を重視しています。SNS分析ツールでは、『カインズ』でつぶやかれている投稿や、自アカウントの投稿のリーチ数などを確認しています。 「メールワイズ式」では、ソーシャル分析ツール以外を利用している。 西潟氏 ヒートマップは熟読、終了エリアを中心に見つつ、CTAを入れられそうなポイントを探すために使っています。BIダッシュボードは、KPIに紐づく数字を見られるようにしていますが、今後改修を予定していて、セッション開始からCVまでの流れをより詳細に見られるようにすることを考えています。 ■ Q:実際の流入経路の割合を聞いてもいいですか? 与那覇氏は、この質問は非回答とした。「メールワイズ式」は、ほとんどオーガニックだと回答した。 西潟氏 オーガニックでは獲得できない層にリーチするために広告を配信することがあり、その場合はオーガニックが多少減ることもありますが、それ以外はほぼオーガニックです。アルゴリズムのアップデートに左右されるので、もう少しバランスが取れた割合にしたいと思っています。 ■ Q:コンテンツページ分析は、どれくらいやってますか? 与那覇氏の回答は「目視!!!」。与那覇氏は「人の目を大事にしていて、公開した記事でも読者にとって、読みにくいと感じれば修正している」と話す。 西潟氏 10-15本くらいヒートマップ、CTAのアクション内容、CV経路を見ています。 「最近公開した記事、セッションや表示回数が多い記事を中心にヒートマップで離脱ポイントを見て、CTAの内容を変えたり、CVの経路になっている記事をGA4で見て、分析したりしています」と西潟氏。白砂氏は「とても丁寧に運用されている。だから、公開本数が少なくてもアクセスがあり、リード獲得もできているのだと感じる」と話した。 ■ Q:CTAのアクション率ってどれくらい? 与那覇氏は「記事によって違うため、意識していない」という回答だった。 与那覇氏 ミミズやメダカから、縄文時代に、お掃除に役立つハウツー記事までさまざまな記事があるので、一つ一つのCTAのアクション率をみても、メディア全体として考えたときにあまり意味をなさないかなと思っているので、意識していません。 西潟氏は、詳しいデータは出せないものの「意外とありますよ!」と回答した。 西潟氏 CTAとしては資料ダウンロード、無料の製品お試しをおいているが、数としては『結構あるな』と実感しています。 ■ Q:これらの数字を使って、オウンドメディアの存在意義を社内で証明できる? 与那覇氏は、「CTAは意識していないとお伝えしましたが、売上を作るための記事はしっかり意識している」と言う。ある洗剤を紹介する記事を公開したところ、公開後に売上が300%向上した事例や、テープのりの記事では、販売数量が150%向上した事例があるという。また、印象的なエピソードとして、与那覇氏が店舗のメンバーと話した時に、「『となりのカインズさん』を見て、来店した方がいました」と声をかけてもらい、「やっていてよかった」と振り返る。 西潟氏は重要な前提として、まず次のように語った。 西潟氏 上司の理解がないとオウンドメディアは難しいと思っています。B2Bの場合、リードやCVをどれだけとれるかをみられがちだが、1年で成果を示せる状態になるのは難しい。まずはその期間がかかることを理解してくれる上司がいることが重要。 「メールワイズ式」では、流入数、アクセス数が伸びていて、CVとしている資料ダウンロードや、無料お試しの数も増加しているので、その数字でオウンドメディアの存在意義は示せるかなと西潟氏は語る。リード獲得数は8倍となり、製品お試し申し込みした方の半数が「メールワイズ式」を訪問した人で、「メールワイズ式」が流入経路の一つになってきている。ただ、もっと高い数字を求められることはあるという。