新たな魅力〝発進〟大阪ー神戸「第三の交通」就航の狙い 混雑や渋滞のない快適な海路、クルーズ船「ルミナス神戸2」
【令和を変える!関西の発想力】 大阪と神戸を結ぶ交通網といえば、JRに阪急電車、阪神電車、さらにはバス路線も複数あって、過密状態といっても過言ではありません。 そんな中、阪神間を海路で結ぶ「第三の交通」が新年早々、お目見えすることになりました。しかも、神戸クルーズで高い人気を誇る乗客数約1000人の船「ルミナス神戸2」が神戸港と大阪港を往復する予定です。 コンセプトは「移動を体験時間に、渋滞のない海上交通の提案」だそう。来年開催される「大阪・関西万博」をフックに阪神間に海路を拓き、徐々に「第三の交通」として定着させる計画です。 このプロジェクトを主導するのは大阪府。昨年の社会実験を経て、運航に踏み切ったらしく「第三の交通」に自信満々の様子です。また、実際に運航する神戸クルーズの担当者も「混雑や渋滞のない快適な海路で、食事や風景を楽しんでください」と陸上交通には無い魅力をアピールしつつ、万博開催期間は毎週水曜日から日曜日、ほぼ毎日の運航を目指すと展望を語ります。 確かに現在、阪神間の交通機関はいずれも混雑しており、朝夕の電車は満員状態。道路も渋滞ばかりで、車の移動はなかなか時間が読めません。 クルーズ船はそんな移動のストレスを解消し、現在、約30分で移動できる阪神間を90分以上の時間をかけて、海風や食事を楽しみながら優雅に移動しよう、と呼び掛けています。 まずは万博ツアー客に向けて ただ、せっかちな関西人に今すぐ「時間はかかるけどクルーズ船で移動しない?」と言っても、受け入れられるとは思えません。そこで、まずは万博にやってくるインバウンドやツアー客に向けて、日本旅行がクルーズ観光プランを販売。その後、地元の多彩な旅行会社へ観光プランの販売ルートを拡大しながら、阪神間の海路を第三の交通として社会に定着させるという段階的なプランが練られています。 この計画がうまく進めば、万博が終わった頃、通勤を兼ねて約90分間、今人気のワーケーションをクルーズで楽しむ、といったビジネスライフが阪神間の新しい魅力になるかもしれません。 だとすれば、企業の福利厚生としても人気が出そうです。価格は現在、移動のみで片道税別2800円になる予定。「ミニクルーズワーケーション」などとアピールすれば、優秀な人材獲得に効果を発揮しそうです。阪神間の社長さんたち、いかがですか? (地域ブランド戦略家・殿村美樹)