【アイスホッケー】五輪最終予選、日本0勝3敗。~イントロダクション~
「チームとして戦えることがわかった。 勝つという自信もありました」(石田)
今シーズンも日本のアイスホッケー・プレーヤーが世界で活動している。アジアリーグで、北米で、そしてヨーロッパのリーグで。それぞれ秋と冬にレギュラーリーグを戦い、やがて春にプレーオフを争うことになるが、その前に彼らは、オリンピックの代表をかけて夏に戦っていた。8月末から行われたミラノ・コルティナ五輪の最終予選。そこでノルウェー、デンマーク、イギリスと戦ったのだ。 9月5日にアイスホッケー・マガジンを出したこともあって、8月は編集作業に追われていた。インターネットのライブ配信で中継を見させていただいたが、3試合ともにタイトな試合。日本代表ウオッチャーにとって、ちょっと意外な結果だったといえるかもしれない。 大会の前に、日本代表は開催地デンマークの「ヘアニング・ブルーフォックス」を相手に練習試合を行なった。1戦目は3-4(オーバータイムで負け)。2戦目は立ち上がりから6点を先行され、3-8で敗れている。テストマッチは全2試合が終了。ちょっとどころか、大きな不安を抱えて大会に入ることになった。 8月29日、第1戦はノルウェーと。日本は国際アイスホッケー連盟のランキングで24位、ノルウェーは12位だ。世界選手権でいうと、日本は2部に当たる「ディビジョンI・グループA」。ノルウェーは1つ上のカテゴリー、いわゆる「トップ・ディビジョン」で戦っていた。 ノルウェー戦の第1ピリオド、先制点は日本だった。 22歳~23歳で組んだ、2つ目のラインだった。ノルウェーの手厚い攻撃に手を焼いていた日本だが、16分、Dゾーンでルースパックを拾ったFW榛澤力(アニャンHL)がニュートラル、そしてOゾーンまでキャリーしてゴール前にパス。中央のレーンをドライブしてきたFW中島照人(イタリア・HCメラーノ)がバックハンドで合わせてスコアした。 中島照は「後ろを見たら、相手選手が戻ってきていた。フォアハンドのシュートのほうが入りやすいんですが、バックハンドでも力だったら出してくれる、そういう信頼感は持っていました」と振り返る。 ノルウェーも34分、38分、39分に、立て続けにゴールを決めた。2ピリを終わって1-3。パックの支配率からいって、日本が劣勢に立っていることは否めなかった。 3ピリに入っても、42分にノルウェーが追加点。しかし、パワープレーの54分、日本が2点目を決める。Aゾーン右でタメをつくったFW中島彰吾(レッドイーグルス北海道)の横パスを、FW平野裕志朗(オーストリア・HCインスブルック)が左から豪快に打ち抜いたのだ。 「チームにとって、流れがつくれたゴールだったと思います」と平野。だが試合は結局、そのまま2-4で終わった。 DFの石田陸(イタリア・HCメラーノ)は、こう感じたという。 「自分としてもチームとしても、戦える、勝てることがわかりました。負けはしましたが、自信もあった。体を張って泥くさく貪欲に戦えば、次は必ず勝てる、と」 1日目を終わって、ノルウェーとデンマークが1勝を挙げて、勝ち点「3」。2日目以降のノルウェーとデンマークの勝敗にもよるが、日本としては最低条件として、2試合で勝ち点「6」をとらなくてはならなくなった。