Z世代が社会を変えた?バングラデシュ政変 なぜ暴動に発展?今後どう国の舵取りを?現地在住者に聞く
■デモを主導したのがZ世代、20代が中心「わずか1カ月で、首相が国外に行かなければならない状況になったのはSNSの力」
そんなバングラデシュで先月、公務員採用の特別枠めぐる抗議デモが発生。抗議学生と治安部隊が衝突し、約150人死亡。今月に入り、大規模反政府デモで、約100人が死亡した(5日まで)。5日にハシナ首相は辞任し、ヘリでインドへ脱出した。 日下部氏は、今回の騒動について「最初は平和裏に始まった運動だったが、警察が学生を殺害する映像が全国に流れてしまった。それで一気に、公務員改革を求める運動だったものが、バングラデシュ全土で“正義を求める運動”に拡大していった背景があると思う」との見方を示す。 また、「(ハシナ氏が)長期政権化していたこともあるが、言論の抑圧・弾圧、貧富の差の拡大など、やはり社会に不満を持つ人たちは一定層いた。そういった人たちの声を、ある意味でハシナ政権は押さえ込んでいた。それが学生運動をきっかけに、一気に噴出する状態になったのではないか」と続ける。 実態は暴力革命になってしまったのか。日下部氏は「そもそも2018年に同じように平和裏に公務員改革を求める運動があった。それは平和裏に、ある意味でハシナ首相が受け入れる形になった。今回も収束していくと思ったが、メンバーの一人が殺害され、さらにもっと多くの人が殺されていることがSNSを通じて拡大することによって、両者がエスカレートしていったと思う」と答えた。 首都ダッカ在住で、「KOLPONA」代表、現地の私立大学で非常勤講師をしている田中志歩氏は、学生について、「最初は自分の勤めている学生はデモに参加していなかったが、メンバーの一人が亡くなってしまったことから、私立の大学生の子たちも活動に本格的に参加するようになった」といい、「最初は衝突に怯えるような子たちもいたが、現状を変えたいという言動に変わっていったように感じる」と振り返る。 デモを主導したのがZ世代、20代が中心で、SNSで広まったことに対して、日下部氏は「わずか1カ月で、首相が国外に行かなければならない状況になったのはSNSの力。だからこそハシナ政権は今回インターネットを一時全部止めた。これはバングラデシュでは初めてだと思うが、こういった強硬手段を取らないといけない状況になったんだと思う」との考えを述べた。