大手の独壇場に風穴をあけたLCCジップエア、国際線利用で浮かび上がった「注意点」は? 成田―ホノルル線をANAと比較した 『鉄道なにコレ!?』【番外編】
一時期ほどではないが円安ドル高が続き、海外旅行は手が届きにくくなった。海外に行くための航空運賃や宿泊料金を見ると、ひるんでしまう。そうした中、少しでも割安に海外へ行ける手段として、中・長距離国際線に特化した格安航空会社(LCC)、ジップエアトーキョーの利用が広がっている。 【写真】大手航空会社のCAが退職、たどり着いた意外な職業は 3人目の子どもを出産 「新しいことに挑戦したい」という思いが… 父は「なんでしんどい道を進むんや」と猛反対 20年
今年4~6月期の旅客収入は前年同期の約1・5倍の172億円となった。今後も航空機を増やして路線や便数を広げる計画で、「海外旅行がより身近になる」と期待する声が出ている。 だが、私が夏休みの休暇で利用したところ、全日本空輸(ANA)などの航空大手とはサービス面で異なる「注意点」が浮かび上がった。(共同通信=大塚圭一郎) 【ジップエアトーキョー】航空大手の日本航空(JAL)の全額出資子会社で、いずれも成田空港発着の中・長距離国際線を運航するLCC。本社は千葉県成田市。2020年6月に運航を始めた。矢などが素早く飛ぶ様子を示す英語「ZIP」が社名の由来で、ビジョンとして新しい基準を作る「ニュー・ベーシック・エアライン」を掲げる。 ジップエアは、成田と海外9都市の間を運航している。具体的には成田とアメリカのハワイ州ホノルル、西部カリフォルニア州ロサンゼルス、サンノゼ、サンフランシスコ、カナダ西部バンクーバー、シンガポール、タイ・バンコク、フィリピン・マニラ、韓国・ソウルを結んでいる。(成田―ホノルル線は2024年10月27日~25年3月15日の期間は運休)
2023年度決算の売上高は前年度の約1・9倍の604億円、最終的なもうけを示す純利益は前年度の約2・7倍の61億円だった。24年7月に累計搭乗者数が200万人を超えた。 ▽航空機の大半はJALの〝お下がり〟 ジップエアはボーイング(アメリカ)の中型機787―8型を8機使っている。うち大半の6機はJALが用いていた〝お下がり〟で、残る2機は新造機だ。整備はJALの整備子会社、JALエンジニアリングに委託している。 LCCは大手航空会社に比べて座席数を増やすとともに、空港で折り返す時間を短くし、客室乗務員が機内清掃をするといった合理化によって割安な航空運賃を提供している。 ジップエアの客室には就寝しやすいように座席が平らになるフルフラットシート、「スタンダード」と呼ぶエコノミークラスの2種類があり、座席数は計290席。JALが運航する同型機は186席または206席より、やはり多い。