東急の「自動運転バス実証実験」に京急バスも参加、成果と課題が見えてきた
京急グループ本社:遠隔コントロールセンターの監視体制
遠隔コントロールセンターは、京急グループ本社ビルの受付ロビーに設置されていた。誰でも見学できるオープンスペースだ。1階には京急ミュージアムがあり、デハ236号(京急の電車)が設置された吹き抜け部分の真横だった。会議用の長テーブルに椅子が2脚。その前に大型モニターが2台。左側が能見台地区循環用で、右側が虹が丘・すすき野地区循環用だ。 各画面はいくつかに分割されており、EVバスの複数のカメラ映像を同時に映し出すほか、各種装置の状況を示すグラフが表示される。オペレーターは1人で、それぞれのモニターの表示を随時切り替えながら状況を確認している。といっても実証実験はレベル2で、運転者がいるほか、乗客に説明する添乗スタッフも同乗している。だからなんとか1人でも対応できているのだろう。 さらに右側には中型モニターとハンドル、ゲーミングチェアがある。まるで本格的なレーシングゲーム環境だ。これは自動運転バスを遠隔操作するシステムだという。自動運転バスの目標はドライバーレスで、自動運転では対応できない場面も遠隔操作する。ハンドルとアクセルを使わなくても、例えば一時停止からの発車ボタンも遠隔操作できるようにしたいという。 今回の実証実験では、遠隔コントロールセンターはバスの挙動や安全確認と同じくらい、乗客案内面で活躍していたように思う。LINEを使った予約システムが機能しているか、途中の停留所で乗降する人数を確認できているか、などだ。私が能見台地区循環に乗ったときは、途中の停留所で降りる人、次の停留所で乗る人、その次で降りる人がいた。実験参加者が早くも自分の用途で使いこなしているようだ。その乗降予約については遠隔コントロールセンターから添乗員に通知された。また乗るはずだった人が発車時刻までに現れないという状況があり、見切り発車するかを遠隔コントロールセンターと相談する場面もあった。 予約システムは、乗車したら「確認」をタップする仕組みになっており、これで乗車完了、発車オーライとなる。しかし私たちのほとんどがその仕様に気付かず、試乗終了後に「確認」していた。このオペレーションも今後の課題となりそうだ。