錦織のベスト4入りを阻止したマレーの25秒タイムバイオレーション
テニスの全仏オープンの男子シングルス準々決勝が7日パリのローランギャロスで行われ、2年ぶり2度目のベスト8進出を果たした第8シードの錦織圭(27、日清食品)は第1シードのアンディ・マレー(30、英国)に6-2、1-6、6-7(0-7)、1-6で敗れ、自己初の4強入りはならなかった。 同試合を終えて、英国のインデペンデント紙は、「選手は、少しの幸運や一瞬の輝きや相手の予想しなかったミスなどをきっかけに試合の流れを自分の方へ向けることができる。しかし審判から罰せられたことを、試合を有利に持ち込むきっかけとする例はほとんどない」と報じた。 錦織が2度ブレークするなどで第1セットをものにし、好調なスタートを切った同試合。第2セットは第1ゲームでマレーがサービスゲームをキープしたあと、第2ゲームでは錦織がサービスゲームをキープして1-1となった。 マレーにとって「試合を有利に持ち込むきっかけ」となったと同紙が指摘する場面は、その後の第3ゲームで起こった。 マレーが40-0としたあと錦織がフォアを逆クロスに打って15-40、ラリーを制して30-40、そしてジュースに持ち込んだ。その後マレーに一度アドバンテージがつき、2度目のジュースとなった時に、マレーのサーブを打つまでの時間が長すぎたことでタイム・バイオレーション(遅延行為)を取られてしまったのだ。 同紙によると、この試合を担当したカルロス・ラモス審判は、第1セットの第3ゲームでもマレーのサーブとサーブの間の秒数が25秒を過ぎているとタイム・バイオレーションを取っていた。 第1セットを錦織に取られ、試合を支配されていたマレーは挽回しようと必死になっていた最中。しかも2度目のバイオレーションはファーストサーブを打つためにボールをトスした時に取られたもので、ファーストサーブを帳消しにされたため、マレーは苛立ちを隠せず同審判に抗議した。しかし審判は、マレーがボールを空中に投げた時には「すでに26秒が経過していた」と主張した。 ところが、だ。マレーはそこから崩れるどころか、「よりアグレッシブにプレーし、試合を錦織から奪った」。「マレーは次の2ポイントを連続で取り、2度ブレークした」とマレーの怒りが力のこもるプレーに繋がったことを伝えた。その気合いに押されてか、その後錦織のミスが続き、マレーがこの第3ゲームから連続で5ゲームを取って同セットを奪取した。 同紙は、またこの試合について、「マレーと錦織は創造力のあるプレーで輝きを放つ選手として最高級の二人で、ある意味そういう試合を展開した。しかし太陽で照らされたセンターコート『フィリップ・シャトリエ』で二人はともに基本的なエラーも犯した。特に錦織は第1セットを支配したあと、自らのレベルを保持することに失敗した」と、錦織が第1セットの勢いを保てなかったことを指摘した。