データ復元は困難?不正の「証拠隠滅」はこう防ぐ、企業が理解すべき「データ消去」の恐ろしい損害
信頼できる専門家に依頼したい場合は、デジタル・フォレンジック・プロフェッショナル認定の上級資格「CDFP-P」の取得者を探すことをお勧めします。高いレベルの専門知識を要する技術系の資格で、本稿執筆時点でこの分野における専門家を見分ける唯一の国家資格と言えます。さらに、この資格の取得者であれば、たとえ消されたデータの復元ができなくても、訴訟等で有効なデジタル証拠は見つけてくれる可能性があります。 故意の証拠隠滅は実に多いです。私は上場企業の社長から「フォレンジック調査をされてもバレないようにデータを消してほしい」と相談されたこともあります(もちろん断りました)し、ある企業での講義後に、法務担当の方から「データを残しておいて、あとで解析して事なきを得た」という経験談を伺ったこともあります。
「データを消さない」ことは会社を守り、かつ社員を守ることにもなります。消すことも大切ですが、消さないという選択肢が会社の命を救うかもしれません。
下垣内 太 :アイフォレンセ日本データ復旧研究所 代表取締役