会社員でも経費を申告できる! 「特定支出控除」を活用して節税しよう
あまり知られていませんが、会社員などの「給与所得者」が仕事に必要な支出をした場合に利用できる「特定支出控除」という仕組みがあります。対象の支出がある場合、確定申告を行うと所得税や住民税が安くなります。 本記事では「特定支出控除」とは何なのか、どのような支出が対象になるのか、簡単に解説します。
給与所得者の特定支出控除とは?
そもそも「控除」とは、税額を計算する際、個別の事情を加味して金額を調整するための仕組みです。控除の対象になれば、税負担が軽減されます。住宅ローン控除や医療費控除などは有名ですが、他にもいくつもの控除があります。 給与所得者の特定支出控除は、会社員など給与を受け取っている人が一定額を超える「特定支出(仕事に必要な支出)」を行った場合に利用できる控除です。
「特定支出」とは? どんな支出が対象になる?
「特定支出」として認められる可能性があるのは、以下の7種類です。 ・通勤費(通勤に必要な交通費など) ・職務上の旅費(出張関連費用など) ・転居費(転勤に伴う転居の費用など) ・資格取得費(仕事に必要な資格を取得するための費用など) ・研修費(仕事に必要な技術や知識を得るための研修の受講料など) ・帰宅旅費(単身赴任中の人が離れた自宅に帰るときの交通費など) ・勤務必要経費(書籍などの図書費、制服や作業服などの衣服費、交際費など) 勤務先が負担した分や給付金が支給された分は除き、自己負担した金額だけが対象です。勤務先もしくはキャリアコンサルタントに、費用を証明する書類を用意してもらう必要があります。
「一定額」とは? いくら以上なら特定支出控除を利用できる?
特定支出控除の対象になるのは、上記の特定支出の合計額が「その年中の給与所得控除の2分の1」を超えた場合です。給与所得控除は、給与所得を受け取っている人が対象になる控除で、収入に応じて図表1のように決められています。 【図表1】
たとえば給与収入400万円の人なら、給与所得控除額は400万円×20%+44万円=124万円、つまり特定支出控除を利用できるのは124万円×2分の1=62万円を超えた場合となります。合計100万円を特定支出として支出したとすると、100万円-62万円=38万円が特定所得控除の対象になる金額です。 転勤による単身赴任や引っ越し、難易度の高い資格の取得やリスキリングなど「今年は仕事関連の出費が多かったな」と感じたときは、特定支出控除の存在を思い出して、総額を計算してみましょう。