「生成AIは儲かる」を証明、純利益73%増で絶好調「メタのAI収益化3本柱」とは
法人向け:「AI収益化3本柱」とは
ザッカーバーグCEOは、4~6月期決算発表会で、生成AIの中長期収益化の3本柱として、「ビジネスメッセージング」「AI回答画面への広告挿入」「自社LLM(大規模言語モデル)の外販」を挙げた(図2)。 まず、「ビジネスメッセージング」では、Meta AIが自動的に会議資料やスライドを作成したり、メールを起草したり、データの翻訳・要約や分析を行うなど、業務アシスタントの役割を果たすと予想される。 法人向けであるため、利用企業がこの機能をカスタマイズして、一般顧客向けAIチャットボットなどカスタマー向けのサービスを提供することも想定している。これは、全体的にマイクロソフトのCopilotに類似しているようだ。ザッカーバーグCEOは、3本柱の中で「ビジネスメッセージング」が最も早く収益化できると見ている。 次いで「AI回答画面への広告挿入」だが、既存のコアAIによる広告表示最適化の延長線上に展開されるもので、ユーザーがMeta AIで行った検索結果の表示画面に関連広告を挿入するサービスだ。 Facebook、Instagram、WhatsAppにはAIがシームレスに組み込まれているため、個人情報や行動を追跡・共有されたくないユーザーがクッキーを拒絶しても、メタのAIがユーザー検索などを通して彼らの嗜好や行動を直接的に追跡して学習できる。 これは、メタのAIが「新たなクッキー」として機能することを示唆している。メタのアイデンティティは「人や企業をつなげるSNSプラットフォーム」であり、その主な収益源は広告だ。たとえ広告業界でクッキーの利用が制限されても、メタはAIによるユーザー追跡でより正確な広告ターゲティングを提供できる可能性が高いのだ。 またMeta AIは、「あなたがいいねしたかもしれないページ」「知り合いかも」「サジェストグループ」「フィードレコメンデーション」「フィードランク付けコメント」「マーケットプレイス」「お知らせ」などのおすすめやそれらの閲覧とも密接に連動しており、広告ターゲティングの精度をさらに向上させていくだろう。それは、メタのプラットフォームへの広告出稿がさらに増えることを意味する。 加えて、7月だけで2000万回ダウンロードされるなど、無償提供でファンが増えた「LLM(自社大規模言語モデル)」のLlama 3やその後継をいずれ有料化することで、メタのAI売上は何重にも増えることが予想される。