慢性的な「人手不足」に悩む労働現場…変革のカギは日本企業が避けてきた「2つのキーワード」
女性の社会進出
そんな人手不足対策として各業界が積極的に採用し始めているのが「女性」だ。 女性差別撤廃条約や男女雇用機会均等法などの法律が整備され始めると、女性の社会進出が加速。男女共同参画局の資料によると、現在の女性就業率は72.4%と、男性の正規雇用率84.2%にはまだ及ばないものの、その差は年々縮まりつつある。
一方、女性の年齢階級別労働力率を示すグラフを見てみると、 1981年は綺麗なM字カーブを描いている。 この曲線は女性の社会進出が進む北欧などでは綺麗な台形をしているのだが、40年前の日本では、学校卒業後、働き始めた女性が25歳~29歳には結婚・出産・子育てのために退職し家庭に入り、子育てが一段落した後に社会復帰することで、M字カーブになっていることが分かる。 一方、令和4年のグラフは、未婚や晩婚、また結婚後や子育て中でも仕事をやめず働き続ける女性が増え、M字カーブの底が年を追うごとに浅くなり台形に近づきつつあることから、女性の社会進出が少しずつ進んでいることが見て取れる。
しかし、高度経済成長から続く男性社会は、女性は非常に働きにくい環境だ。 とりわけ人手不足が顕著であるブルーカラーにおいては、国や自治体、業界が女性の参入を促しているケースでも、専用トイレや更衣室すらないような現場が少なくない。 そんななか、「ドボジョ」(女性土木作業員)、「トラガール」(女性トラックドライバー)といった呼称をつけるなど、男性目線の誘致しかできない昭和の化石のような感覚で女性を招き入れようしても、うまくいくはずがない。
外国人労働者の受け入れ
もう1つ、日本が人手不足に積極的に取り入れようとしているのが「外国人労働者」だ。 現在日本で働く外国人労働者の数は204万8675人(前年比225950人増)。平成19年以降、過去最多を更新。外国人を雇用する事業所数も31万8775所(前年比1万9985所増)で、届出義務化以降、過去最多となっている。 現在日本に滞在する外国人で最も数が多いのはベトナム人で25.3%、次いで中国人(香港・マカオ含む)が19.4%、フィリピンが11.1%となっている。