工業用ガスケット材料で業界リード セキネシール工業 関根俊直社長 埼玉活躍企業
小川和紙の伝統技術を生かした工業用ガスケット材料の開発、製造で業界をリードするセキネシール工業(小川町)。関根俊直社長(36)は、地域に根差しながら世界に飛躍する企業に成長したいと力が入る。 ■世界誇れるメーカーに --長らく事業を継続されている 「小川地域では1300年以上に渡って伝統的な和紙の製造が続けられており、関根家は江戸時代から手すきの工法で和紙を作ってきました。4代目の照夫が太平洋戦争から帰還後、和紙業界の将来性を危惧しせまりくるモータリゼーションの波へと目を向け、和紙づくりから工業用の(隙間を埋めて接合部の流体の漏れや異物混入を防ぐ材料の)ガスケット材料づくりへと事業転換しました。私たちは『伝統をつむぎ、未来をすくう』というミッションを掲げ、『世界に誇れる特殊な機能紙メーカー』を目指しています」 --現在注力している事業内容やターゲットは 「当社は、さまざまな原材料を混ぜ合わせ、紙すきの技術により、特定の機能・性能を持った材料を生産することが可能です。戦後80年にわたり、エンジンや産業機械向けのガスケット材を中心に、耐熱・耐油性に優れた特殊機能紙を製造しています。主なターゲットとしては、自動車、二輪車、商用車、農業機械、建設機械、船舶などエンジンが搭載されているような産業に材料の供給をしています」 ■品質と環境の両立に挑戦 --今に至るご苦労は 「これまでの道のりでは、製品の品質向上と環境への配慮を両立させるために多くの試行錯誤がありました。特に、新素材の開発においては、規制に対応する技術の確立が難しく、度重なる失敗も経験しました。しかし、従業員全員が一丸となり、諦めずに挑戦を続けたことで、業界からの信頼を得ることができたと感じています」 --新たに取り組みたい事業や目標は 「短期的には、自動車業界を始めとした電動化の波により、今後当社材の需要の減少が見込まれるため、成長産業に目を向け新規事業の創出を考えています。特に近年、電気自動車の発火事故が社会課題となっており、それを解決するために、延焼防止のための断熱材の開発に注力をしていす。中長期的には、次世代モビリティーといわれる水素自動車や空飛ぶクルマ、ドローン、ロケットにも採用をされ、グローバル展開を推進し、世界に誇れる特殊な機能紙メーカーになることを目指しています。また、この技術を生んだ地域との共生も重視し、地域資源を生かした新事業の立ち上げもできたらよいなと考えております」 ■地元の振興にも役立ちたい