被虐待が疑われる子どもから「誰にも言わないで」と言われたら?
通告が違法となる場合
なお、虐待の通告をし、その通告をしたのが学校であることが何らかの事情により保護者に判明してしまった場合、教員が保護者から強い非難を受け、「訴えるぞ」等と言われることもあります。 しかし、病院から虐待通告した事案ですが、判例上も、虐待の通告自体は法令上定められた義務であること等を理由に、「虐待の事実がないことを認識しながらあえて通告をした場合及びそれに準ずる場合を除き、通告をしたことについて法的責任を問われることはない」としています(東京高等裁判所平成25年9月26日判決)。 したがって、「疑いがあったら通告」というルールを徹底するようにしましょう。 鬼澤秀昌 司法試験合格後、教育系NPO法人の常勤スタッフとして勤務。その後、大手法律事務所を経て、教育・NPO分野に注力するため2017年に「おにざわ法律事務所」を開業。第二東京弁護士会・子どもの権利委員会、日本弁護士連合会・子どもの権利委員会などに所属。2020年から文部科学省スクールロイヤー配置アドバイザーも務める。 *『月刊教員養成セミナー2024年12月号』 「現役スクールロイヤーが法規を基にお答え 教育現場のグレーゾーン対応術」より 法律のプロが、教員生活で判断に困るグレーな事例の対応を毎月ズバッと解説! 関連法規の筆記・面接試験の過去問もご紹介します。教師になってからの実践にも、教員採用試験にも役立つ一石二鳥な連載です。是非ご覧あれ!