福井県の地銀と新聞社が立ち上げた地域アプリ、設立の背景からオープンデータ化、地域通貨やMaaS機能まで聞いてきた
スーバーアプリ化に向けて地域通貨やMaaS機能も
ふくアプリの柱の一つがデジタル地域通貨「はぴコイン」だ。2023年11月から福井県全域で「はぴコイン」が利用できるデジタル決済プラットフォームを整備した。2023年12月末時点でダウンロード数は累計約30万件、ユーザー数は約8万3000人。福井県の人口が約76万人であることから、開始2ヶ月でかなり急速に広まったことが伺える。 ふくアプリでは現在、自治体発行の商品券、出産・子育て支援など行政からの交付金やポイントのほか、ウォーキングで付与される健康ポイント、ポランティア参加で付与されるポランティアポイントなども実証しているところ。受け取りもQRコードの読み取りで可能にするなどユーザビリティにもこだわった。 このほか、今年3月の北陸新幹線開業に向けて、移動手段の経路検索や電子企画乗車券の発券などのMaaS機能もふくアプリに実装する動きも加速している。県嶺北11市町、交通事業者、福井銀行、福井新聞社などで作る「ふくいMaaS協議会」は、交通の検索、予約、決済までを一括で利用できる機能を、すでにデジタルクーポンなどで実績のあるふくアプリのサービスの一つとして組み込むことを決めた。 小林氏は「企画乗車券と地域通貨や地域ポイントとをシームレスに繋ぎ、周遊観光で利用してもらうことを想定している」と明かす。 ふくアプリは、まだ始まったばかりだ。「福井県のプラットフォームとして認めてもらったが、自治体でも、民間事業者でも、そして利用者でも、これからどれだけ使ってもらえて、アプリを成長させていくか。それが、ふくいのデジタルの仕事」と小林氏。 ふくいのデジタルは、デジタル技術を活用した地域課題の解決に取り組む企業や自治体を表彰する「Digi田甲子園2023」で民間企業・団体部門ベスト4に選出。その仕事の意義が認められた。 地域を巻き込み、地域の人も旅行者も使えるスーパーアプリへ。小林氏は「全国的にも例のない福井DXモデルを作り上げていきたい」と先を見据えた。 聞き手:トラベルボイス編集長 山岡薫 記事:トラベルジャーナリスト 山田友樹
トラベルボイス編集部