【下山進=2050年のメディア第40回】トランプ当選でしぼむ プラットフォーマーへの反独占の気運
アマゾンでは、出品をしている各企業の商品を購入した消費者のデータは、各企業にいくのではなく、アマゾンにいく。そしてそれは出品をしている各企業には開示されない。本来各企業は自社製品のデータの集積を背景にして、アマゾンと正味の交渉ができるはずだが、それができない。そうした矛盾をついた論文で、カーンは、独占禁止法の父ルイス・ブランダイスにならって名付けられた「ネオブランダイス」学派の若き俊英だった。 カーンが、バイデン政権によってFTCの委員長に指名されると、アマゾンは、「カーンはアマゾンに対してバイアスがあるのでアマゾンの調査には関わってはならない」とする「忌避」の請願書をFTCに提出している。 プラットフォーム「X」を運営するイーロン・マスクは、トランプが当選すれば、カーンは「すぐに馘になるだろう」とXにポストしている。 カーンが再任されることはない、が、ワシントンの多くの見方だ。 第二期のトランプ政権で、プラットフォーマーに対する独占禁止法の運用は緩和されることは確実だ。 そうなると日本の公正取引委員会もどうなるかわからない。 ■地方紙と共同通信は生成AIとの協業を始めたが その日本では、11月になって自社の記事を生成AIに読み込ませることを是とする社が出てきた。新潟日報と共同通信である。 新潟日報は、エクサウィザーズという生成AI関連企業との協業で、新潟日報生成AI研究所を11月1日に立ち上げた。 新潟日報の場合は、新潟日報の2010年1月以降の記事を読み込ませている。 エクサウィザーズ社は、OpenAIを始め複数のAIと契約をしており、それに自社のソフトを組み合わせて売るという形をとっている会社だ。新潟日報の生成AI研究所が提供するサービスもそうしたベーシックなソフトに加えて、新潟日報の記事を読み込ませた生成AIを新潟の企業が使えるというたてつけだった。 当然のことながら、それで、新潟日報の記事の著作権は守れるのだろうかと思ったが、エクサウィザーズのチーフAIイノヴェーターで新潟日報生成AI研究所の取締役もかねる石山洸に聞くと「各生成AIの会社にはオプトアウトという契約を結んでいるので、新潟日報生成AI研究所のサービスをとる顧客以外に、新潟日報の記事をつかった答えがでることはない」とのことだった。