「60歳代後半シニアの就業率」は52%と半数超え…シニアの所得事情も解説
年金は最低限の生活を保障する制度のはず...年金だけで生活できないの?
続いて、高齢者世帯の経済事情を厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」から見てみましょう。 2021(令和3)年の項目において「高齢者世帯」の「総所得」は318万3000万円となっています。 「全世帯」が545万7000万円、「児童のいる世帯」が785万円であることを考慮しても、高齢者世帯は収入が少ないことが明らかです。 あわせて、内閣府「令和5年版高齢社会白書」より「65歳以上の人の経済的な暮らし向き」を確認しましょう。 ●【65歳以上】経済的な暮らし向き(全体)の回答結果 ・家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている:12.0% ・家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている:56.5% ・家計にゆとりがなく、多少心配である:23.7% ・家計が苦しく、非常に心配である:7.5% ・不明・無回答:0.3% 65歳以上の人の多くが「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と回答。贅沢やお金がかかる娯楽はむずかしいものの、節約を意識しつつも日々の住まいや食料に困っていない人が多いといったことだと思われます。 また、全体の12%が「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と回答していることも見て取れます。 ちなみに、総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」の「世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布」では、4000万円以上の貯蓄がある世帯が18%を超えていることからもわかるように、経済的にゆとりのある高齢者も少なくないと思われます。 一方、「家計にゆとりがなく、多少心配である」と回答した人は23.7%、「家計が苦しく、非常に心配である」と回答した人は7.5%でした。3割以上のシニア層がお金の心配をしながら暮らしています。 年金生活者の中には冷暖房の使用を控えている人、リーズナブルな価格で購入できる食材をうまく調理している人、衣類の購入を長年控えている人もいると思います。 次の章では、シニア世帯の労働に対する考え方を統計から紐解いていきましょう。