筑陽学園、好守で流れ ピンチ切り抜け好打 /福岡
<センバツ甲子園> 第91回選抜高校野球大会第4日の26日、筑陽学園は福知山成美(京都)を3-2で降し、春夏通じて甲子園初勝利を挙げた。緊迫したシーソーゲームの展開となり、七回に勝ち越すとアルプススタンドは大盛り上がり。2003年夏に初出場した甲子園では歌うことができなかった校歌を響かせた。2回戦は第7日第3試合(29日午後2時予定)で、山梨学院(山梨)と対戦する。【宗岡敬介、秋丸生帆】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 ▽第1試合=1回戦 福知山成美 000200000=2 01010010×=3 筑陽学園 守備からリズムを作るのが筑陽学園のスタイルだ。二回表に1死一、三塁のピンチを併殺で切り抜けると、その裏にチャンスが巡ってきた。 野田優人(3年)、福岡大真(同)の両選手が連打で出塁し、続く進藤勇也選手(同)がスライダーを左前にはじき返して先制。進藤選手は「ストライクは全て狙っていこう」と、追い込まれてからは足を上げずに打つノーステップ打法に切り替え、対応力の高さを見せた。 四回表に逆転を許したが、食らいついた。四回裏2死一、三塁から福島悠介選手(3年)が三遊間を破り同点。福島選手の母真紀さん(54)は「怖くて見ていられなかったが、ほっとしました」と大舞台での息子の活躍を喜んだ。 アルプス席から応援した真田賢成選手(3年)は「まだ同点だがうちは簡単には負けない。応援に来てくれた人たちのためにも、まず1勝を」と声を張り上げた。 すると七回、江原佑哉主将(同)が粘って四球を選び、続く野田選手は「後ろにつなぐ意識だった」と、この日3安打目となる勝ち越しの二塁打で均衡を破った。終盤でのリードにアルプス席は大いに盛り上がり、野田選手の母奈美さん(44)は「今朝、ラインで『いつも通り頑張りなさい』と送った。信じられない」と笑顔を見せた。 投げては西雄大投手(同)が要所を締め、無四死球の95球で完投した。校歌を歌うナインの姿に、アルプス席では涙をぬぐう人も。2003年夏の甲子園に初出場したメンバーの同校野球部OB、木村豪さん(33)は「校歌に鳥肌が立った。僕らができなかった甲子園初勝利をやってくれて、本当にうれしい」と目を細めた。 ◇一生懸命演奏を ○…16年ぶりの甲子園出場を盛り上げようと、一塁側スタンドには太宰府市民吹奏楽団の団員12人が駆けつけた。学校から要請を受け、指揮者の飯田信也さん(41)は「一生に一度かもしれない」と仕事を休んで参加した。団員で筑陽学園吹奏楽部OGの広田愛美さん(28)も「可愛い後輩のために一生懸命演奏します」と笑顔を見せた。吹奏楽部顧問の西田裕二さん(61)は「地元太宰府をあげて応援したい」と拳を握った。 〔福岡都市圏版〕