「我が子の生活に合わせられる」別の仕事も経て、復職した保育士が語る 保育現場の利点と課題 #こどもをまもる
顔のわかるパート活用、配置基準の改善を
では、賃金アップのほかに、どのような改善策があったら働きやすくなるのだろうか。ベテランのCさんも、冒頭のAさんと同じく、「保育士の配置基準の見直し」をあげる。 「戦後に作った基準が、75年も変わっていない。例えばゼロ歳は、3人を1人で見ます。私たちの手は2本しかないし、背中は一つ。ゼロ歳って、親の産休が明けた直後の赤ちゃん、6カ月、1歳と、同じ4月に入園しても、ねんねだったり歩いたり、状況がばらばらなんです。1対1で見たい年齢ですよ。1歳でも1対3かな。2歳になったら1人で4人とか。今、1~2歳で1対6から1対5にすると検討されていますが、本当は年齢や人数、状況に応じて、現場で決められる仕組みがいいと思います。今は、発達障害や配慮が必要な子も増えています」 最近ではマッチングアプリを利用して、資格さえあれば、飛び込みで保育園の仕事ができるアルバイトがある。だが、本来は、子どもの愛着形成にとっても、顔の見える人間関係、働く人が継続できる安定した環境が必要だ。 鎌倉女子大の小泉教授は、「そうしたアルバイトは、本当に人手がない緊急時の最終手段かと思う。資格がなくても、子どもたちの顔を知っている保護者、子育て経験のある人が、有償でサポートに入るやり方もある」と提案する。 なかのかおり ジャーナリスト、早稲田大参加のデザイン研究所招聘研究員。新聞社に20年あまり勤め独立後、46歳で早大大学院社会科学研究科修了。著書に「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」障害と芸能界の交差を追ったノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡」。 --- 「子どもをめぐる課題(#こどもをまもる)」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。子どもの安全や、子どもを育てる環境の諸問題のために、私たちができることは何か。対策や解説などの情報を発信しています。