2試合無安打でもそのスイングは本物!中京大中京・山田に見える”無限の可能性”【夏の甲子園ピカイチ選手・9日目】
第106回全国高校野球選手権9日目、1本もヒットを打てずに甲子園を去ったスラッガーがいた。中京大中京(愛知)の3番打者・山田 頼旺外野手(3年)。プロも注目する、大型外野手だが、その長打力はおろか、安打をマークすることもできなかった。 【トーナメント表】甲子園大会 9日目までの結果一覧 2試合8打席で、7打数無安打、1四球2三振。これが山田の最後の夏の甲子園成績だ。180センチ、80キロと人がうらやむような体格。2年の夏には愛知大会決勝で2本のアーチをかけるなど長打力を発揮。1年秋から名門の背番号をもらっていた右のスラッガーだが、甲子園でそのベールを脱ぐことはなかった。 神村学園(鹿児島)との2回戦が最後の試合となったが、打席でのスイングを見る限りは「本物」だと確信している。特に第1打席の初球を振りにいったスイングは高校生離れしていた。ファウルにはなったが、体全体を使った腰の据わった、その強烈なスイングスピードは頭から離れない。 山田は高校生最後の夏を終え、こう振り返った。 「(神村学園の)今村投手は同じ腕の振りでも直球、変化球を投げるので打ちにくかった。昨年の愛知大会の決勝戦の本塁打で警戒が厳しくなった。これまでフルスイングをしてきたが、打ちにくいコースばかりだった。その中で、ミートと長打の両立ができず、3年間が終わってしまった。ミートができるよう、連続ティーなどで反応を高めてきた。大学では、しっかりと技術を磨いていきたい」 高橋監督の評価はもちろん変わっていない。「彼については、振ってこそ持ち味が出る選手。考えすぎないようにしてきました。打てなくても、他の選手がカバーしてくれるからと伝え、しっかりと打席内で振ることを伝えました」。結果は出なかったが、非凡さは甲子園で垣間見ることができた。 不完全燃焼で終わった球児が、のちに大きく飛躍したケースは山ほどある。むしろ、その方が多いのではないか。山田の野球人生はこれからスタートするのだと、勝手に思っている。