政府が増税しなくても国民負担が増えていく?元財務官僚が解説する「103万円の壁」解消の合理性
『御礼は香川のうどん1袋だって?ドライな性格の国民民主党・玉木雄一郎が「総理になるための条件」』に続き、国民民主党の目玉政策「103万円の壁」見直しについて解説する。 【図解】野党の合従連衡の果てに誕生!国民民主党の歴史
全国民に恩恵がある?
玉木氏が改めて「103万円の壁」の見直しについて解説する。 「選挙で訴えた『手取りを増やす』ということと、やはり若い人を元気にしたいんですよね。 これは私も反省しているのですが、『年収の壁』はこれまで、社会保険料の支払い義務が生じる『106万円の壁』と『130万円の壁』ばかりが取り上げられてきました。『103万円の壁』なんか存在しないとされてきたんです。たしかに所得税率も低いですし。 ただ、実際に現場を回ってみて、多くのアルバイトの学生やパートのみなさんが103万円を気にして働いていることがわかった。実際に学生アルバイトの年収が103万円を超えると、親の扶養から外れるので、親の税負担がグッと上がる。これは無視できない」 国民民主党が掲げるのは、基礎控除等を103万円から178万円に引き上げるというもの。課税所得が減少するので、すべての国民に恩恵があると主張する。年収500万円ならば、13.2万円の減税になると玉木氏は試算する。
一定の合理性はある
元財務官僚で、法政大学経済学部教授の小黒一正氏が解説する。 「累進課税の所得税は、名目所得の金額に応じて課される税率が異なります。たとえば、課税所得が150万円の場合、課される所得税率は5%です。ところが、物価が2倍になって、賃金(課税所得)も2倍の300万円になると税率は10%になってしまう。実質的な所得は増えていないのに、税率だけが上昇してしまうのです。要するに政府が増税しなくても、国民の税負担が増えていくわけです。 178万円という数字は、'95年から最低賃金が1.73倍になっていることに基づくもの。減税規模の問題は色々あると思いますが、国民民主党の政策に一定の合理性があるのはたしかです」 後編記事『不倫騒動を乗り越えられるか!?玉木雄一郎が目玉に掲げる「103万円の壁」を待ち受ける超高いハードル』へ続く。 「週刊現代」2024年11月16日・11月23日合併号より
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