精神科医が教える<そのままの自分>を生きるために大切なこと。幼少期に川崎病に罹患「みんなと違う」ことが嫌だった
◆「変わる」ことはとても大変 そもそも「変わる」ってけっこう大変です。 慣れている仕事をするより新しい仕事をするほうが疲れたり、いつもの道を歩くより新しい街を歩くときのほうが緊張したりします。 「変わる」ってとてもエネルギーがいるし、疲れることなのです。 それにね、「変わらなきゃ」とか「このままじゃダメ」って感じるときは、その言葉の裏には、こんな気持ちが含まれていたりします。 ・今の自分が嫌い ・今の自分は正しくない ・今の自分は何かが足りない 自分を否定する気持ちがあるんですね。 だから「変わりたい」と思えば思うほど、自分の否定につながってしまって、なんだか苦しくなってしまうってこともあったりするのです。 僕は「無理して変わろうとしなくていいよ」って伝えたいです。 無理して変わろうとするよりも、弱い自分、つらい自分、しんどい自分、できない自分、ポンコツな自分、すぐ弱音を吐く自分、そのまま全部ひっくるめて「そのままの自分を大切にする」ことを意識してみてほしいなと思うのです。
◆「変わりたい」という気持ちも大切 一方で「変わりたい」という気持ちも、もちろん大切です。 今がうまくいっていなかったり、不足していると感じる部分があって、変わることでうまくいくようになるのならうれしいことですよね。 もしも今、ちょっとだけでも変わりたいな、前に進みたいと思うなら……やっぱり「今の自分」をめちゃくちゃ大切にしてください。 失敗したり、うまくいかないことがあっても、「自分が自分のいちばんの味方でいてほしい」って思います。 自分の心も体もケアして、いたわって、大切にしてあげてほしいのです。 そのうえで、心身ともに整ってフラットな状況になったら、「うまくいかない自分」や「うまくいくためには何が大切か」に向き合ってみればいいのではないでしょうか。 そんなときに、自然と無理なく変わっていけたりするものですよ。 実は、こんなことを話す僕自身にも、覚えがあるのです。 僕は幼いころに川崎病という病にかかり、その後遺症で心臓にこぶができて、激しい運動ができずにいました。小学生のときにプールに入ったり、サッカーをしたり、長距離走ができなかったのです。 そのころは、とにかく「みんなと違う」ことがイヤで、「そのままの自分」を受け入れられずに悲しい思いもしました。 けれども、「こんな自分はダメなんだ」と自己否定にならなかったのは、「できないのは『僕のせい』ではなくて、『病気のせい』なんだ」ときちんと原因と向き合ってきたからだと思います。 「なんとなく自分のせい」にせず、あせらずに原因と向き合って、「できない自分」を受け入れてきたからだと思います。 だから、別に泳げなくても浮輪を使えばいいし、そもそもやりたくもない長距離走まで他人と同じを目指さなくていい、と思える自分に出会えました。もちろん時間はかかりましたが。
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