マクラーレン・アルトゥーラ 詳細データテスト 改良されたエンジンとシャシー 冷静からやや情熱的に
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ディテール好きなら、アルトゥーラはもちろん、マクラーレンの技術解説は楽しく読めるはずだ。 改良型の20psアップは、3.0LのM630型V6の電子制御に手を加えたことによるもの。さらに、明らかに高い8500rpmのレッドラインに向かう活力も上積みされている。このホットVユニットそのものに、それ以外の変更は加えられていない。 それは、8速DCTのベルハウジング内に組み込まれた95psのアキシャルフラックスモーターも同様だ。モーターそのものは、ハイパーカーのP1に用いたものより出力密度が3割増。プラグインハイブリッドシステムは、7.4kWhで88kgのバッテリーと、130kgのドーナッツ型モーターが含まれる。 ルーフの開閉メカニズムは62kgで、テスト車の実測重量は1618kg。これは2019年に計測したV8搭載の600LTより153kg重いが、ハイブリッドを積まないマセラティMC20シエロより165kg、固定ルーフのフェラーリ296GTBより30kg軽い。 ほかの変更点は、パワートレインのマウントが硬くなり、新たなダンパーのバルブは敏捷性とレスポンスの向上に寄与するという。さらに、強化されたブレーキキャリパーと、新たなブレーキ冷却ダクトが備わり、ABSも再チューンされた。 トランスミッションにも手が入り、油圧を前もってシフト時に必要なところまで加圧することで、変速タイムを25%短縮。排気系は、標準仕様にもスポーツエキゾーストにもアクティブシステムが備わり、より豊かなサウンドを生む。 ホイールはテスト車に装備された10スポークのスーパーライトウェイトと、新デザインの15スポークが選択可能。オプションで用意されるチタンボルトは、バネ下重量を400g程度削減する。 スーパーフォーム成型のアルミパネルを用いるボディに変更はなく、クレバーなエアロも比較的控えめなままだ。スパイダーでは根元部分がシースルーとなるバットレスにはエアインテークが設られ、エンジンルームに走行風を取り込んで排熱する。 リアデッキのウサギ穴のようなダクトは、600LTの上方排気口のような見た目だが冷却用の開口で、マクラーレンのエンジニアはチムニー、すなわち煙突と呼んでいる。さらに、デッキには後方向きの通風口もあり、リアエンドはメッシュ張りとなっている。 スパイダーは、ヘッダーレールに小さな隆起を設置。これは、オープン時にキャビンのノイズを低減する機能がある。