ローム、一転通期赤字を予想 SiC投資にブレーキ
ロームは2024年11月7日、2024年度上期(2024年4~9月)の決算記者説明会を実施。2024年度通期予想について、売上高は期初予想比300億円減の4500億円、営業利益は150億円の赤字(期初予想は140億円の黒字)、純利益は60億円の赤字(同140億円の黒字)にそれぞれ下方修正したと発表した。 2024年度通期予想[クリックで拡大]出所:ローム 売り上げ減は、BEV(バッテリーEV)普及の後ろ倒しや日系自動車メーカーの中国向け販売不振および、日本国内における認証試験の不正問題を受けた自動車メーカーの減産の他、FA(ファクトリーオートメーション)機器向けで在庫調整が長期化していることなどが主因だ。 なお、2024年度上期売上高は、前年同期比3.0%減の2320億円となった他、営業利益は9億円の赤字となった。純利益については、投資有価証券売却益(62億円)の計上があったことから前年同期比94.5%減の21億円で着地した。 通期予想を市場別にみると、自動車向けの売上高は前年度比0.5%減の2283億円と、従来予想の10.8%増から一転、マイナス成長となることを予想している。BEV普及の減速および日本国内における認証試験の不正問題を受けた自動車メーカーの減速が響く。ローム社長の松本功氏は「欧州や中国では伸ばすことができているが、日本の生産台数減産はわれわれにとって非常に厳しい状態だ」と説明していた。 産機向けも同19.4%減の602億円と、従来予想の12.1%減からさらに下振れるとしている。松本氏は「もともと下期に少し回復傾向となり、在庫調整が終わると考えていたが、在庫調整が長期化している」と説明。本格的な回復は2025年度以降になる見通しだという。
設備投資にブレーキ、25年度は1000億円以下に
ロームはこうした状況から、投資計画を大きく見直した。同社は、主にSiC事業向けで2023年度には設備投資に1867億円を投資。2024年度にはさらに1650億円を投資する計画だったが、今回、期初計画比150億円減となる1500億円に減額すると説明した。さらに2025年度は、従来は1400億円程度と想定していた投資額を1000億円以下に抑える見通しだという。 ロームはSiC事業だけで2021~2027年度までに5100億円を投じる計画を掲げていたが、これが4700億~4800億円に減ることになるという。松本氏は、「SiCを中心に、先行投資フェーズから需要に合わせて戦略的に投資をしていくフェーズに入った」と語っていた。 ロームはSiC事業について、2025年度に売上高1100億円という目標を掲げていた。しかし、産機関係およびEV市況の減速といった状況から達成時期を2026~2027年度へと後ろ倒しにした。また、製造能力についても、今後の需要に応じて強化をしていく方針とし、前回発表から後ろ倒しに調整している(右下図)