ローム、一転通期赤字を予想 SiC投資にブレーキ
宮崎第ニ工場での8インチ量産開始は2025年に変更
ロームはSiCウエハーの8インチ化を進めていて、2025年には筑後工場(福岡県筑後市)で量産開始予定だ。さらに、ソーラーフロンティアから取得した宮崎第二工場(宮崎県国富町)においても、2024年中に8インチSiC基板の生産を開始する予定としていたが、今回、この基板生産の開始時期を2025年に変更したことも明かした。ロームはSiCパワー半導体の生産能力について、2025年度には2021年度比6.5倍、2030年度には同35倍にする計画を掲げていたが、松本氏は「2025年度の6.5倍の目標は1年ずれるイメージだ」と語った。 なお、宮崎第二工場は稼働準備は既に完了していて、今後の需要に応じて製造装置を導入していく方針。上述の生産能力強化の目標については宮崎第二工場に装置を導入していくことで対応可能であり、松本氏は、「市場が伸び、われわれのシェアが上がってくればそこまでの生産能力増強ができる準備は整った」としている。 また、松本氏は8インチ化について進捗は順調だとしたうえで、「6インチから8インチになれば取れ数は1.78倍になる。われわれは、歩留まりも向上しているため実際には2倍近くの取れ数となることから、8インチ化を加速することでコスト競争力は大幅に上がる」と強調。さらに新世代品投入を2年ごとに早めることによる性能での競争力強化にも触れ、「SiCでは、この2つの柱をもって、需要を見ながら進めていきたい」と語っていた。
工場再編やファウンドリー活用、人員数適正化などの改革も
ロームはまた、安定的に利益を出す事業基盤構築に向け、今後3年で固定費を年200億~300億円圧縮する方針だ。 具体的には生産拠点の再編および、ファウンドリーやOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)活用拡大、設備投資の圧縮、価格適性化などだ。人員数適正化も掲げるが、松本氏は「半導体の人員は世の中でもかなり少ない。人は大事にしながらも、どんどん増やすわけにはいかないので、コントロールしながらやっていきたい」と述べていた。現状では採用の見送りなどを実施しているという。
EE Times Japan