要介護の認定は運次第!認定率の「高い自治体」「低い自治体」の歴然たる格差
認定調査票には「特記事項」という項目があり、調査員が自由に書き記す箇所がある。決まった質問項目(例えば、「片足立ちはできますか?」「腕を上げることはできますか?」「自分で起き上がりはできますか?」など)以外に、調査員が気づいた点を書き記す部分である。家族が同席していれば、「普段は物忘れが激しいです。車椅子の状態で起き上がることは、難しいです」などと、調査時以外の状況を書き加えることができるのだ。 仮に、調査項目に基づいて本人の回答のみで記入されてしまうと、軽く判定されがちである。特に、男性高齢者は口数が少ないため、質問しても「はい」「いいえ」しか反応せず調査員が問題点を拾い上げにくい。家族がどうしても同席できない場合には、担当ケアマネジャーに頼むなど、普段の生活状況を把握している専門職に依頼しておくべきだろう。 ● 要介護認定のキーマンは 主治医(かかりつけ医) また、要介護認定の結果に大きな影響を及ぼすのが、主治医(かかりつけ医)の意見書だ。認定結果は先の調査員の調査結果と、かかりつけ医による意見書で決まる。
そのため、受診した際には、必ず、要介護認定の申請をした旨を伝えておくべきだ。また、日常の生活状況なども、受診の際にはきめ細かく伝えておく必要がある。 高齢者本人が伝えることが難しければ、できれば家族が同席して医師に説明するほうがよい。診察時間が5分前後なので、医師からは普段の日常生活の状況まできめ細かく聞かない場合があり、患者側から積極的に伝える必要がある。 なお、総合病院など大きな病院の医師が主治医(かかりつけ医)になっている場合、医師の意見書の手続きには時間がかかる。そのため、要介護認定の申請の際には、できれば近所の診療所の医師を「かかりつけ医」として申し込み用紙に記入したほうがよい。 医師の意見書の提出が役所に遅れると、認定審査が遅れ申請から結果までおよそ30日前後なのが、60日もかかることが珍しくない(平均40.2日)。できるだけ、風邪などをひいた際に決まって受診する診療所(クリニック)を固定化しておくべきだろう。
結城康博